児童文学

「白いキリンを追って」

白いキリンを追って Book 白いキリンを追って

著者:ローレン・セントジョン
販売元:あすなろ書房
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「白いキリンを追って」ローレン・セントジョン著 さくまゆみこ訳(あすなろ書房)2007年12月発行.247p.1400円

イギリスに住む11歳の少女マーティーンは、火事で両親を亡くし、会ったこともない祖母の住む南アフリカ・ケープタウンのサウボナ鳥獣保護区で暮らすことになります。

「白いキリンに乗ることのできる子どもは、すべての動物に対して力を持つ」という伝説に登場する白いキリン。

先祖から伝わっている伝説によってマーティーンの運命は定められていたのだと明らかになった時、その白いキリンが密猟者に盗まれてしまいます…。

南アフリカを舞台にしたミステリ仕立ての冒険物語。これがシリーズの1冊目になるそうです。

母親はなぜ以前サウボナに住んでいたことをマーティーンにひと言も言わなかったのか?祖母はなぜマーティーンをサウボナ保護区の中に入ることを許さないのか?白いキリンを追いかける密猟者は誰なのか?グレースおばさんの予言、マーティーンが持つ特別な才能…と、謎は尽きず、ハラハラドキドキしながら読みました。

イギリスから南アフリカヘ。がらっと生活が変わり、学校にもなじめず孤独感が募るマーティーンが、伝説の中だけに生きていると思われていた白いキリンと心を通い合わせ、白いキリンの背中に乗って夜のサバンナを疾走する場面は圧巻です。

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「もりのゆうびんポスト」

もりのゆうびんポスト (そうえんしゃハッピィぶんこ 12) Book もりのゆうびんポスト (そうえんしゃハッピィぶんこ 12)

著者:原 京子
販売元:草炎社
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小学校1年生のまゆは、冬休み一人でおじいちゃんの家に泊まりに来ていました。おじいちゃんの家の近くの森に探検に行ったまゆは、そこで見つけたゆうびんポストに手紙を入れてみます。次の日、ポストのところに行ってみると、「まゆちゃんへ」と書かれた手紙が、「コンタくん」から届いていました…。

手紙をもらったことも出したこともなかったまゆは、うれしくて何度も何度も読み返し、コンタくんとの手紙交換が始まります。毎日ドキドキワクワクしながら、森のポストに通うまゆの姿がかわいらしい。おうちに帰ることになり、森のポストに手紙を出せなくなっちゃうと困っていたまゆに、とりさんが助け舟を出してくれるラストにもほっとします。

誰かから自分宛の手紙をもらうのって、うれしいものですよね。電話もいいけど、手紙ってなんども読めるからいい。そんなことを思い出させてくれます。

最後のページに、コンタくんに手紙を書くとお返事がもらえるという絵はがき付きです。

低学年くらいから読めるかな。おすすめです。

「もりのゆうびんポスト」原京子・作 高橋和枝・絵(そうえん社)2007年11月発行.70p.1100円

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「ネコのタクシー」

ネコのタクシー (福音館創作童話シリーズ) Book ネコのタクシー (福音館創作童話シリーズ)

著者:さとう あや,南部 和也
販売元:福音館書店
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「ネコのタクシー」南部和也・作 さとうあや・絵(福音館書店)2001年5月発行.88p.1200円

ネコのトムは、タクシー運転手のランスさんに拾われて念願の飼い猫になりました。ある日、トムは骨折をして働けなくなったランスさんのかわりに、ネコのタクシーを始めることにします。ランスさんのタクシーと同じ、黒色で小さなネコ用のタクシーを作ってもらいました。でも人間は乗れません。ネコのタクシーのお客さんはもちろんネコ。お礼は1ポンド硬貨と決めました。

トムは自慢の足を使って、ケガをしたネコを動物病院へ運んだり、プレゼントのケーキを運んだり、銀行強盗の逮捕に貢献したりと、大活躍します…。

なんとも楽しい物語。絵本から読み物への橋渡しになるような本です。低学年くらいから。おすすめ。

この作品は、作者の初めての童話で、ドーバー海峡に面したイギリスの町を舞台としているそうです。ちなみに作者の南部和也さんは、東京で猫専用の「キャットホスピタル」を開業されているそうです。

ネコのタクシー アフリカへ行く (福音館創作童話シリーズ) Book ネコのタクシー アフリカへ行く (福音館創作童話シリーズ)

著者:さとう あや,南部 和也
販売元:福音館書店
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ある日、トムの前に父親だと名乗るドクター・ジョンがあらわれます。ドクター・ジョンからアフリカのサルの王様の招待状を手渡されたトムは、ランスさんと一緒にアフリカのゴロンゴロン高原へと旅立つことになります。

トムの持ち物は、招待状と、トムのお父さんが持たせてくれた「すこしこまったときに読む手紙」「こまったときに読む手紙」「とてもこまったときに読む手紙」という三通の封筒だけ…。

トムとランスさんのアフリカへの旅は、ハラハラドキドキ。出会った動物たちに助けられながらも、ランスさんとはぐれてひとり残されたり、そのランスさんには思いがけない再会があったりと、波乱万丈の旅となります。

こちらは上記の「ネコのタクシー」に比べて、ずいぶん長い話になっていますので、中学年くらいから。愉快で楽しいこのシリーズ、おすすめです。

「ねこのタクシーアフリカへ行く」南部和也・作 さとうあや・絵(福音館書店)2004年5月発行.224p.1300円

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あさのあつこ「風の館の物語」

風の館の物語1 (文学の扉) Book 風の館の物語1 (文学の扉)

著者:あさの あつこ
販売元:講談社
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「風の館の物語 1」あさのあつこ作 百瀬ヨシユキ・絵(講談社)198p.1300円

風の館の物語(2) (講談社・文学の扉) Book 風の館の物語(2) (講談社・文学の扉)

著者:あさの あつこ
販売元:講談社
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「風の館の物語 2」あさのあつこ作 百瀬ヨシユキ・絵(講談社)

母が入院し、12歳の洵は、妹の沙菜とともに春になるまで遠く離れた大叔母の家で暮らすことになった。そこは「風の館」と呼ばれる古い屋敷。二人を含め、大叔母の孫にあたるナツなど7人が暮らす。

何かあったらすぐに知らせろよというナツの言葉と、着いたその日から起きる不思議な現象…。館の主である大叔母の琴音は、なかなか姿を見せない。

そしてある夜、三毛猫のポロに導かれるようにして母屋に足を踏み入れた洵は、そこで大叔母の息子で30年前に16歳で亡くなったという洵吾に出会う。

風が舞い風がささやく「風の館」では、こちらの世界とあちらの世界の二つが重なって存在しているという。そこを行き来できるのは、風と洵だけ。そして邪悪な何者かが風の館を呑み込もうとしていた…。

沙菜を守らなきゃという責任感を持ち、まっすぐで肝がすわった洵のキャラクターがいいですね。緊張感の中にも、妹の言動のかわいらしさや、あちらの世界でねこがお茶を入れようなゆかいさなどをちりばめ和ませてくれます。そのバランスがとてもいい。

挿絵を描いた百瀬ヨシユキさんは、スタジオジブリで仕事をされている方なんだそうですが、しっかりものの洵と人なっつこい沙菜は、「となりのトトロ」のさつきとメイに重なりました。

不穏な予感が風の館を覆うところで2巻目がおわっています。物語はまだ続きます。これからどう展開していくのか先が見えません。続きが楽しみです。高学年くらいから。

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「ベイカー少年探偵団」

消えた名探偵 (児童図書館・文学の部屋 ベイカー少年探偵団 1) Book 消えた名探偵 (児童図書館・文学の部屋 ベイカー少年探偵団 1)

著者:アンソニー・リード
販売元:評論社
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「消えた名探偵」(ベイカー少年探偵団)アンソニー・リード著 池央耿・訳(評論社)2007年12月発行.182p.800円

シャーロック・ホームズの「緋色の研究」「まがった男」「四人の署名」の中で、ウィキンズをリーダーとする浮浪児のグループが、ベイカー街遊撃隊(ベイカー・ストリート・イレギュラーズ)として登場します。

そのホームズの手助けをした浮浪児たちが、ベイカー少年探偵団と名を改めて、この物語の主役となってます。

コナン・ドイルの作品の中では、リーダーのウィキンズにしか名前がありませんでしたが、本作では、メンバー全員に名前がつけられ、ウィキンズを中心に大活躍し、自分たちの力で事件を解決していきます。

あとがきによると、この「ベイカー少年探偵団」のように、誰もが知っている古典の登場人物や時代設定を借りて後世の筆者が書いた作品を、“パスティシュ”と言うそうです。

ホームズだけではなく、ワトスン、レストレイド警部も登場するのも嬉しい。ヴィクトリア朝末期のロンドンの雰囲気も感じられます。

高学年くらいから読めるでしょう。6作出版の予定で、現在3巻目まで出ています。

こちらも、ウィギンズをリーダーとした少年たちが活躍する、シャーロック・ホームズ外伝です。

〈カラス同盟〉事件簿―シャーロック・ホームズ外伝 Book 〈カラス同盟〉事件簿―シャーロック・ホームズ外伝

著者:アレックス・シモンズ,ビル・マッケイ
販売元:あすなろ書房
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「カラス同盟事件簿」アレックス・シモンズ.ビル・マッケイ著 片岡しのぶ・訳 佐竹美保・画(あすなろ書房)2008年2月発行.215p.1300円

名探偵ホームズに協力して、暗黒街の情報集めをしていた“ベーカー街不正規隊”。そのリーダーだったウィギンズは、仲間のティムが殺され、子どもまで容赦なく殺す悪党の存在に怯えます。ウィギンズは、仲間から意気地なしの汚名を着せられ“ベーカー街不正規隊”も解散となってしまいます。

そんな折、ティムの弟ドゥーリーが、ホームズの鹿射ち帽を見つけたことから、新たな事件が浮上。ウィギンズは、新しい組織“カラス同盟”を結成し、事件を追うことになります…。

“カラス同盟”には、少女も参加。彼らは危険をおかしながら、シャーロック・ホームズを救い出し、ティム殺しの犯人をも捕まえたりと破竹の活躍をみせます。

1887年のヴィトリア女王即位五十周年祝典を狙う陰謀、ホームズの失踪など、舞台設定は上記の「ベイカー少年探偵団」ととてもよく似ています。どちらが好きか、読み比べてみるのも楽しいかもしれません。(私自身は、こちらの「カラス同盟事件簿」の方が読み応えがありました).

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「ヒトラーのはじめたゲーム」

ヒトラーのはじめたゲーム Book ヒトラーのはじめたゲーム

著者:アンドレア・ウォーレン
販売元:あすなろ書房
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ポーランドのグディニアで裕福な生活を送っていたユダヤ人のジャック・マンデルバウム。彼は、1942年6月、15歳の時、ナチスによって家族と引き離され、強制収容所に送られます。いつ殺されるかわからない恐怖、飢えと寒さ、劣悪な環境での過酷な労働。強制労働収容所を移動しながら、ジャックは3年間に及ぶ収容所生活を生き延びます。その後アメリカへ移住したジャックの回想を挟みながら進んでいく体験記録です。

最年少で一所懸命に働くジャックは、同じ収容所にいるアーロンから、「ここで起こることはすべてゲームだと思え。どんな目にあってもくよくよしてはいけない。うまくゲームをするんだ。そうすれば、ナチスより長く生きることができるかもしれない」と言われます。“これはゲームなんだ”というのは、映画「ライフ・イズ・ビューティフル」の中でも、お父さんが幼い息子を怖がらせないように演技をし同じ言葉を言ってましたね。

そして、餓死しないために余分な食べ物を手に入れろ。注目されることはするな。友だちを大切にしろ(なぜなら、友だちなしでは生きのびることはできないから。その言葉通り、その後モーニクという友だちを得て支えあいます)、(病気にならないように)体を清潔にしておくこと…と、強制収容所で生きるためのルールを学びます。

強制収容所の中には、監視兵の他に、バラック(居住棟)に住む百人ほどの囚人を監督している“カポ”という存在があったとはじめて知りました。囚人をすぐそばで見張りささいなことで暴力をふるうその男もまた囚人で(中にはユダヤ人もいたという)、骨と皮だけの囚人たちの中で、彼だけはびっくりするほど太っていたといいます。

ホロコーストの話は、読むのがつらいんですけど、やっぱり読んで欲しい。中学生くらいから。

「ヒトラーのはじめたゲーム」アンドレア・ウォーレン 林田康一・訳(あすなろ書房)2007年11月発行.191p.1300円

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「木かげの家の小人たち」いぬいとみこ

木かげの家の小人たち Book 木かげの家の小人たち

著者:いぬい とみこ,吉井 忠
販売元:福音館書店
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大正時代の初め頃。イギリス生まれのミス・マクラクランは、母国に帰る前、森山家の少年・達夫に、“小さい人たち”と空色のコップを預けます。のちに四人家族となった小人たちのために、空色のコップで毎日ミルクを運びつづける役目は、その後、代々森山家の人々の手へと引き継がれていきます。

昭和に入り戦争の足音が近づいた頃、小人たちにミルクを運んでいたのは、達夫の娘・ゆりでした。空襲が激しくなり、ゆりは四人の小人たちを連れて、信州の野尻のおばさんの家に疎開します。戦況が悪くなり、ミルクを手に入れることもむずかしくなったゆりは、小人たちの命を無事に守り通すことができるのでしょうか?

小人の物語というと、メアリ・ノートンの「床下の小人たち」が思い出されます。必要なものは人間たちから“借りながら”気付かれないように暮らしている「床下の小人たち」とは違い、この物語では、小人たちは森山家の人々の手からミルクをもらって暮らしています。

敵国にあたるイギリス生まれの小人たちを守っていこうとするゆりも、戦争に反対し逮捕される父親の達夫も、自分の大切なものを守るために、信念を貫き通します。小人たちも閉じこもり守られているばかりではなく、息子と娘のロビンとアイリスは、自らの意志で外の世界に出て行き友だちをつくり、動き出していきます。

1967年に書かれたファンタジーですが、今読んでもおもしろかったですね。

ロビンとアイリスのその後は、「くらやみの谷の小人たち」(福音館書店)という物語になっています。

「木かげの家の小人たち」1967年7月発行.288p.いぬいとみこ・作 吉井忠・画(福音館書店)1600円

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「花豆の煮えるまで」安房直子

花豆の煮えるまで―小夜の物語 (偕成社ワンダーランド) Book 花豆の煮えるまで―小夜の物語 (偕成社ワンダーランド)

著者:味戸 ケイコ,安房 直子
販売元:偕成社
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山奥の温泉宿に住む小夜には、お母さんがありません。小夜の母さんは、山んばの娘。小夜が生まれた後、風になって里へ帰ってしまいました。山の向こうの山んばの村にはだれも訪ねることはできないといいます。おばあさんは、お父さんとお母さんが出会ったいきさつを、花豆を煮ながら小夜に話し始めます…。

山んばの血をひく小夜は、風になって山をかけめぐり、鬼の子と遊び、朴の木の精と話をします。山の娘、小夜の不思議なお話です…。

とても好きな作品でした。小夜のお母さんに会いたい気持ちとお母さんと同じ血をひいていることの誇らしさ、そして風になって小夜を見守るお母さんの愛情を感じながら、読み進みました。

安房直子さんの物語は、味戸ケイコさんの絵とのコンビが多いですね。お二人が作り出す世界は、この世でありながらこの世でないような美しさと、寂しさに包まれているような気がします。

「花豆の煮えるまで」安房直子作 味戸ケイコ・絵(偕成社)1993年3月発行.142p.1200円

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「リバウンド」

リバウンド Book リバウンド

著者:エリック・ウォルターズ
販売元:福音館書店
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「リバウンド」エリック・ウォルターズ作 小梨直・訳 深川直美・画(福音館書店)2007年11月発行.340p.1600円

不良グループから足を洗いたいショーンと、交通事故で車椅子生活を送るデーヴィッド。初対面からけんかをした二人が、バスケットを通じて少しづつ歩み寄り、自分ひとりでは踏み出せなかった一歩を踏み出すまでの友情物語。

よかったです…、とても。いつも強気で平気なふりをしているデーヴィットが、どんなに絶望しどんなに葛藤してきたのか。そんなデーヴィットに対して、“なんのふりをするつもりもない、だだ、友達でいたい”という、ショーンの言葉に泣けました…。

読んでいて、車椅子の人に対するなにげない態度が、どんなに彼らを傷つけるのか…に、気づかされましたた。

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「ハーメルンの笛吹きを追え!」

ハーメルンの笛吹きを追え! Book ハーメルンの笛吹きを追え!

著者:ビル リチャードソン
販売元:白水社
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「ハーメルンの笛吹きを追え!」ビル・リチャードソン著 代田亜香子訳(白水社)2004年4月発行.261p.1600円

「ハーメルンの笛吹き」の伝説をモチーフにしたファンタジーです。

笛吹きと共に行方不明になった子どもたち…。取り残されたのは、楽しみにしていた11歳の誕生日=イレブニングの朝を境に耳が聞こえなくなってしまったペネロピーと、目の見えないアロウェイ。ディープ・ドリーミングという才能を持つペネロピーは、笛吹きをさがし子どもたちを救う使命を負って、夢の中を旅することになります…。

101歳になったペネロピーが、11歳の時に起きたことと、現在の自分を交互に語っていきます。

笛吹きの正体と、連れ去られた子どもたちがどうなったのか?作者なりの答えが明かされます。児童文学というより、ヤングアダルト文学といった方がいいかもしれません。

ねずみの大群におびやかされていたハメルンの町にやってきた笛吹き男。男はねずみを退治するが、約束した報酬を払ってもらえなかった仕返しに、子どもたちを連れ去った…。

「ハーメルンの笛吹き」の伝説は、絵本にもなっていますね。

Book ハメルンの笛ふき

著者:ロバート・ブラウニング
販売元:文化出版局

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「ハメルンの笛ふき」ロバート・ブラウニング詩 矢川澄子訳 ケート・グリーナウェイ絵(文化出版局)1976年9月発行.48p.25×22㎝.1600円

グリムが収集した伝説もありますが、こちらはイギリスの代表的な詩人ロバート・ブラウニングの手によるもの。リズムがいい言葉によるシンプルなストーリー。そしてなによりケート・グリーナウェイの繊細な絵が中世のヨーロッパを感じさせます。個人的には、この絵本が一番好きです。

この本の中ではこのできごとが起きたのは、1376年7月22日(一般的には、1284年6月26日とされているようです)、ひとり残されたのは、足が悪くて遅れた少年ということになっています。

こちらは、「しろいゆき あかるいゆき」「みんなのベロニカ」などの絵本を描いたデュボアザンによるもの。

ハーメルンの笛ふき男 Book ハーメルンの笛ふき男

著者:ロバート ブラウニング,ロジャー デュボアザン
販売元:童話館出版
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「ハーメルンの笛ふき男」リバート・ブラウニング作 ロジャー・デュボアザン絵 長田弘・訳(童話館出版)2003年9月発行.40p.32×24cm.1600円

こちらもロバート・ブラウニングによるもので、上記の文化出版局「ハメルンの笛ふき」と基本的には同じストーリーです。こちらの本の方が大判で、使われている言葉もわかりやすくなっているので、子どもの読み聞かせによいでしょう。

後日談として、トランシルヴァニア地方に、地元の人たちとはまるでちがう、その土地生まれではない一族がいた。彼らは、もともとは遠い昔、ハーメルンの町から連れ出され、閉じ込められた地下牢から逃げ出して、その土地に住みだしたといわれている…と記されています。

Book ハーメルンの笛ふき

著者:エロール・ル カイン,サラ コリン,ステファン コリン
販売元:ほるぷ出版
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「ハーメルンの笛ふき」サラ&ステファン・コリン文 エロール・ル・カイン絵 かなせきひさお訳(ほるぷ出版)1989年11月発行.33P.31×22㎝.1200円

エロール・ル カインの描いた「ハーメルンの笛ふき」は、上記「ハメルンの笛ふき」の余白の多い絵とは対照的で、びっちりと描き込まれた緻密な絵です。この絵本の“まだら服の笛ふき男”の容姿は、悪魔っぽいですよね。

巻末に“ほんとうはなにがおこったか?”として、ハーメルンの伝説についての解説が設けられています。1284年6月26日、ハーメルンで130人の子どもがいなくなりついに戻ることがなかったというのは、史実だったようです。ただ、ねずみ騒動とは無関係だったものが、16世紀になってネズミ捕りの話の一つが「神がくしにあった子どもたち」の話と結びついた(いわゆる後づけされたのですね)と書かれています。

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「木馬のぼうけん旅行」

木馬のぼうけん旅行 (福音館文庫) Book 木馬のぼうけん旅行 (福音館文庫)

著者:ペギー フォートナム,アーシュラ ウィリアムズ
販売元:福音館書店
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「木馬のぼうけん旅行」アーシュラ・ウィリアムズ作 石井桃子訳 ペギー・フォートナム画(福音館文庫)2003年1月発行.272p.700円

面白かった!

主人公は、ピーダーおじさんがつくった小さな木馬。ピーダーおじさんのそばを離れたくないと泣いていた木馬が、木のおもちゃが売れなくなり、生活に困っていたピーダーおじさんのために、世の中に出てお金もうけをしようと決心します…。

小さな木馬は、お金を貯めてピーダーおじさんのもとに帰って静かに暮らしたいという望みを持ちながら、おじさんの家からどんどんどんどん遠ざかり、意図しない方向へとものごとがすすんでいきます。途中稼いだお金を何度も失ったり、足や首が取れてしまったりと、まさに満身創痍で波乱万丈の旅!よく働き正義感の強い木馬の存在は、応援せずにはいられなくなります。最後まで飽きさせない展開で、非常にテンポがいい!小学校4年生くらいから読めるかな。おすすめです。

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「イスカンダルと伝説の庭園」

イスカンダルと伝説の庭園 Book イスカンダルと伝説の庭園

著者:ジョアン・マヌエル・ジズベルト,アルベルト・ウルディアレス,宇野 和美
販売元:徳間書店
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「イスカンダルと伝説の庭園」ジョアン・マヌエル・ジズベルト作 宇野和美訳(徳間書店)1999年12月発行.192p.1300円

世継ぎに恵まれなかったアラビアの王アルイクシールは、後世に名を残すため、世界一美しい庭園を造ることを思い立った。そこで王は、当代随一の建築師イスカンダルに仕事を依頼した。イスカンダルは持てる力の限りを尽くして庭造りに没頭したが、王は密かなもくろみを持っていた…。

読みながら、こんな風に展開していくのかな…という予想が、次々と裏切られました。話は二転三転し、目が離せません。イスカンダルが造りあげた庭の描写にうっとりしました。

ちなみに設定された国も人物も架空の物語です。中学生ぐらいから大人まで。

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「ベラスケスの十字の謎」

ベラスケスの十字の謎 Book ベラスケスの十字の謎

著者:エリアセル カンシーノ
販売元:徳間書店
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「ベラスケスの十字の謎」エリアセル・カンシーノ作 宇野和美訳(徳間書店)2006年5月発行.208p.1400円

とてもおもしろかった!

17世紀スペイン。父に売られ宮廷に連れてこられた少年ニコラスが語り手。

ベラスケスの名画「待女たち(ラス・メニーナス)」に秘められた二つの謎、

-ベラスケスの胸の赤い十字の紋章は、後から描かれたものとされているが、だれが描き入れたものなのか?また、「待女たち」に描かれた12人の人物の中で、一人だけ身元がわからない男がいるが誰なのか?-

を史実に絡めながら、解き明かしていくファンタジーです。

私のように世界史にも美術にも疎くても十分に楽しめます。ミステリー仕立てで、主人公ニコラスの成長物語にもなっています。中学生くらいから、おとなまで。おすすめです。

「ベラスケスの十字の謎」の語り手ニコラスは、背が伸びない体-いわゆる小人と呼ばれた人物でした。当時そのような人たちが宮廷にあつめられ、王族や貴族の気晴らし役にされていたという文章を読んだ時、思い出したのがこの本です。

宮廷のバルトロメ Book 宮廷のバルトロメ

著者:ラヘル・ファン コーイ
販売元:さえら書房
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「宮廷のバルトロメ」ラヘル・ファン・コーイ作 松沢あさか訳(さ・え・ら書房)2005年4月発行.270p.1600円

バルトロメは、異形の体に生まれついた10歳の少年。王女マルガリータの御者を務める父親は、そんな息子を恥ずかしがり、決して人前に出そうとはしなかった。しかし運命のいたずらか、バルトロメは王女マルガリータのおもちゃ“人間犬”として、宮廷に連れていかれることになる…。

はじめに読んだ時は、恥ずかしながらベラスケスも名画「ラス・メニーナス」も知りませんでした。ただひたすら人間扱いされてこなかったバルトロメが不憫でつらかった…。こっそり読み書きを習いに行くのを応援し、宮廷画家のヴェラスケスの画室で温かく迎えられたことを喜び、彼を救い出す計画をドキドキしながら読みました。

今回「ベラスケスの十字の謎」を読んだ後に再読した時は、重複して登場するニコラス(「宮廷のバルトロメ」では憎まれ役ですが)、ヴェラスケス、マリー・バルボラ、ファン・デ・パレハなど、彼らの人物像を肉づけしながら読めました。名画「ラス・メニーナス」が描かれる過程も、「ベラスケスの十字の謎」とは違った解釈で面白かったし。

時代背景など予備知識があって読むのとそうでないのとは、やっぱりおもしろさが違うと思います。あとがきなども一切なく、そのあたりについてなにも触れられていないのは、中高生あたりから読んでもらいたい本の作りとしては少し不親切かなとも思いました。

ベラスケスの奴隷だった黒人ファン・デ・パレハを主人公とした物語が、

Book 赤い十字章―画家ベラスケスとその弟子パレハ

著者:エリザベス・ボートン デ・トレビノ
販売元:さ・え・ら書房
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「赤い十字章」エリザベス・ボートン・デ・トレビノ作 定松正(さ・え・ら書房)1993年11月発行.159p.1236円

画家ベラスケスとその弟子パレハの信頼と友情の物語とでもいいましょうか。

17世紀、スペインでは奴隷は絵を描いてはいけないという法律があったそうです。それでも絵を描きたいと一人でこっそり絵の勉強をしていたパレハに対して、ベラスケスは自由を与え、パレハはベラスケスの助手として最後まで忠実に仕えたといいます。

ベラスケスが、パレハを自由の身にするという手紙を書き手渡す場面にはグッときました。どの本を読んでもベラスケスは好人物に描かれていますね。断片的にしかわかっていない彼らの生涯を、どのように想像し描いていくか…、読み比べてみるとそれぞれの作者の個性や思いが感じられて面白いです。そして、この本の中でも「ラス・メニーナス」の赤い十字章はパレハが描き入れたとなっていました。

この作品は、1966年に全米最優秀児童図書賞であるニューベリー賞を受賞しています。

名画「ラス・メニーナス」と、ベラスケスが描いたパレハの肖像画をカラーでみたいと思う方は、

Book はじめてであう絵画の本 (5)

著者:アーネスト・ラボフ,みつじ まちこ
販売元:あすなろ書房
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“小学生から大人まで楽しめる美術入門シリーズ”と銘打って、各巻1人ずつ16人の画家を紹介したこのシリーズ。第5巻目は、「ベラスケス」を取り上げています。

「はじめてであう絵画の本 5(ベラスケス)」あーネスト・ラボフ作 みつじまちこ訳(あすなろ書房)1995年4月発行.32p.29×23㎝.1650円

「ラス・メニーナス」をめぐっては、いまなお解決されていない謎が残っているといわれているそうですが、そのような絵画の謎をあつめたのが、

迷宮美術館 アートエンターテイメント Book 迷宮美術館 アートエンターテイメント

著者:NHK『迷宮美術館』制作チーム
販売元:河出書房新社
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「迷宮美術館(アートエンターテインメント)」NHK『迷宮美術館』制作チーム著(河出書房新社)2006年3月発行.95p.933円

NHKBSテレビ「迷宮美術館」という番組で放送されたものをまとめたもの。

“「ラス・メニーナス」では、一国の王をなぜ鏡の中に描いたのか?”、“絵の中でベラスケスが向かっているキャンパスには何が描かれてているのか?”

その謎が解き明かされています。CGで作製されている「ラス・メニーナス」が描かれた構図は、非常に面白く納得できるものとなっています。

                ※番組ホームページは、こちらから。

王女マルガリータのその後は…。

ハプスブルク家の女たち(ヨーロッパ随一の名家の栄華をたずねるウィーンとオーストリア歴史紀行)」海野弘他(学習研究社)1994年発行.112p.1600円

スペイン国王フェリペ四世の次女マルガリータは、14歳でウィーンのレオポルト一世と政略結婚します。それでも夫のレオポルト一世とはたいそう仲が良かったそうですが、22歳で短い生涯を閉じています。

王妃たちのドラマと重ねて、ウィーンやオーストリア各地をめぐる写真紀行です。

今も残る王宮や修道院の豪華さにうっとり。エリザベート、テレジア、マリーアントワネット(テレジアの娘)など、これまで点として知っていたことが、自分の中で線として少し繋がりました。それにしてもエリザベートって、ホントに美人ですね…。

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「まぼろしの白馬」

まぼろしの白馬 新版 (岩波少年文庫 142) Book まぼろしの白馬 新版 (岩波少年文庫 142)

著者:エリザベス・グージ
販売元:岩波書店
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「まぼろしの白馬」エリザベス・グージ作 石井桃子訳(岩波少年文庫)新版2007年1月発行.330p.720円

1842年、ロンドン生まれでロンドン育ちのマリアは、両親を亡くし孤児となったため、家庭教師のヘリオトロープ先生と一緒に、まだ一度も会ったことのない肉親、ベンジャミン卿が住んでいるシルバリーデュー村の領主館へと移り住みます。

温かく迎えられたマリアは、持ち前の明るさで新しい土地に慣れていきますが、この領主館にはなにやら秘密の歴史があるようで…。

まっすぐで好奇心いっぱいの13歳の少女が、村を再興させる物語。1946年に、その年イギリスで出た児童文学の最優秀作品、カーネギー賞を受賞した作品。

現実の中に、ファンタジーの要素がちりばめられています。60年前の作品なので、非常にクラシカルな香りがするのですが、とっても好きでしたね。もちろんハラハラする場面もあるんですが、読んでいる間、ずっと安心感に包まれているというのでしょうか、幸せな気持ちでいられました。最後、あっちもこっちもハッピーエンドで、大満足!

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