南極観測船「しらせ」が退役することになり、現在南極の昭和基地から日本に向けての最後の航海中なんだそうですね。昭和基地には25年間通ったそうです。本当にお疲れ様でした…。
「やまとゆきはら 白瀬南極探検隊」関屋敏隆(福音館書店)2002年10月発行.2200円
1912年(明治時代)白瀬を隊長とし、犬ぞりで南極点をめざした探検隊の足どりをたどったノンフクション絵本。日本人として初めて南極の地を踏んだ白瀬の伝記絵本ともいえるかな。南極観測船「しらせ」は、この白瀬中尉の名前から名づけられたようですね。
「エンデュアランス号大漂流」エリザベス・コーディーキメル著 千葉茂樹・訳(あすなろ書房)
1914年。第一次世界大戦が始まり、南極大陸がまだまだ未知の世界であった頃…。シャクルトン率いる28人の探検隊が、「エンデュアランス(=不屈の精神)」という名を持つ船に乗って、南極大陸横断の旅に出発する。
しかし、巨大な流氷帯に行く手をはばまれ、南極大陸に上陸すらできないまま、氷の中に閉じ込められ動けなくなってしまう。その後、船は押しつぶされて沈没。現代のような装備もない。無線も届かず、救助の見込みも全くない。それからが、生還に向けての長い長い旅のはじまりだった…。
淡々と語られていますが、まるで記録映画を見ているように映像が浮かんできました。
彼らの強靭な精神力と体力に感嘆し、圧倒されっぱなし。途中幾度となく絶望感に襲われたことだろうと、想像するに足りない。けれど、そんな極限状態の中でも、暗さは感じられません。むしろ明るさや希望さえ感じるのです。
常に先を読み、船員たちのために心を砕き、素早い判断を下す…。そんなシャクルトンのリーダーとしての力量と、船員それぞれが自分が果たさなければならない役割を把握し、知恵を出し合い、それを実行する。そして、天が味方をしてくれる出来事も重なり、奇跡を起こしていきます。読みながら、人間の偉大なる力をひしひしと感じました。
この旅を記録するために同行した専属写真家が撮り続けた写真もふんだんに使われ、貴重な経験を映像からも語ってくれます。ラスト、近づく救助ボートに手を振るモノクロの写真には、グッっときました。今はもう星になってしまった彼らに、心から大きな拍手を贈りたいと思います。
「南極のコレクション」武田剛8フレーベル館)2006年6月発行.1600円
2003年5月から1年4か月、南極観測隊に同行した新聞カメラマンの記録。南極ってどんなところ?と聞かれたら、まずはこの本を手渡したい。壮大な自然とそこに息づく動物、隊員の暮らしぶりを、豊富な写真で伝えます。
「ぼくの南極生活500日」武田剛(フレーベル館)2006年8月発行.120p.1600円
同じ著者が写真メインの上記の本とは別に、より詳しい読み物版として出版したもの。
到着早々、総出で建設された衛星通信アンテナ。このアンテナでインターネットと携帯電話が使用できるようになったことや、放置された古い雪上車などのゴミ問題、南極にも地球温暖化の波が押し寄せていることなど、過去の観測隊の業績と苦労を織り交ぜながら、南極の「今」を伝えます。