世界の絵本

「ポッダとポッディ」

ポッダとポッディ」(こどものとも2008年6月号・通巻627号)シビル・ウェッタシンバハ作 松岡享子・訳(福音館書店)410円

あるところに、ポッダとポッディという貧乏な夫婦が住んでいました。ある日、だんなさんのポッダが仕事にもいかず寝そべってネコと遊んでいるのをみておかみさんのポッディは腹を立てます。家中をさがして10ルピー玉をひとつ見つけたポッディは、なにか食べるものを買ってきてちょうだいとポッダに頼みました。

ポッダは、道の途中で自分の母親に似たおばあさんに出会います。おばあさんは、種にする赤玉葱を売っていましたが、少しも売れないようです。そこでポッダは、10ルピーでその玉葱を全部買って帰りました。ポッディはカンカンに怒り、その玉葱を裏庭に投げ捨ててしまいます。ところが何日か経つと、裏庭いっぱいに赤玉葱が育っていたのです…。

今月号のこどものともの作者は、「きつねのホイティ」や「かさどろぼう」でおなじみのシビル・ウェッタシンバハさん。スリランカの絵本です。

生き生きとした伸びやかな線と、おおらかなストーリー。最後はあったかい気持ちになるシビル・ウェッタシンバハさんの絵本が大好きです。どの場面にも登場して、ポッダと遊んだり喜んだりしているネコも愉快。スリランカの市場の様子も垣間見られます。

こちらも、シビル・ウェッタシンバハさんの絵本です。

ねこのくにのおきゃくさま (世界傑作絵本シリーズ) Book ねこのくにのおきゃくさま (世界傑作絵本シリーズ)

著者:シビル ウェッタシンハ
販売元:福音館書店
Amazon.co.jpで詳細を確認する

ねこのくにのひとたちは、働きもの。何不自由ない暮らしをしていましたが、楽しむことを知りませんでした。そんなねこのくにに、海の向こうからやってきて、音楽と踊りを運んできたお客さまの正体は??

お客さまは一体誰なんだろうという謎と、正体が明らかになった後、どうなっちゃうの?というドキドキ感が楽しめます。年長さんぐらいから。

「ねこのくにのおきゃくさま」シビル・ウエッタシンハ作 まつおかきょうこ訳(福音館書店)1996年4月発行.36p.26×27㎝.1300円

| | コメント (0)

「ゆらゆらゆくよ」韓国の絵本

ゆらゆらゆくよ (世界の絵本コレクション) Book ゆらゆらゆくよ (世界の絵本コレクション)

著者:クォン ジョンセン
販売元:小峰書店
Amazon.co.jpで詳細を確認する

「ゆらゆらゆくよ」クォン・ジョンセン・文 キム・ヨンチョル・絵 金広子・訳(小峰書店)2007年10月発行.26×23㎝.1575円

ある日、ハルモニ(おばあちゃん)は、自分で織った木綿ひと巻きをハラボジ(おじいちゃん)の前に差し出して、「市に行ってこの木綿とお話をひとつ取り替えてきて下さいな」と頼みます。

市では売れなかった木綿でしたが、その帰り道、赤鼻のお百姓さんがお話と取り替えてくれました。そのお話が、ハラボジの家に侵入しようとしたどろぼうから、二人を助けることになります…。

韓国の昔話をもとにした創作昔話。日本の昔話の「おんちょろきょう」(または「おんちょろちょろ」)に似てますね。文章を書いたクォン・ジョンセンは、「こいぬのうんち」の作者と言えば、わかる方も多いでしょうか。ハルモニとハラボジのなんとも楽しそうな笑顔が印象に残りました。

| | コメント (0)

世界の絵本・サハリン

ヌーチェの水おけ Book ヌーチェの水おけ

著者:神沢 利子
販売元:ポプラ社
Amazon.co.jpで詳細を確認する

主人公となるのは、北国に住む男の子ヌーチェ。まだちびっこのヌーチェが、ひとりでマスを捕りに行く時も、あざらしを捕りにいく時にも、かあさんは亡くなったとうさんがつくった水おけを持たせてくれました。その水おけのおかげで見事に獲物を得て、かあさんのもとに持って帰ることができたのです…。

作者は、幼少期をサハリンで過ごされた神沢利子さん。神沢さんのあとがきによると、“オロッコの子どもヌーチェの物語”となっています。

オロッコとは、サハリンに住む先住民族のこと(現在は、ウィルタと呼ばれています)。トナカイ牧畜や狩猟、漁労を生業とし、木の幹を組んだものを柱とし外部を毛皮で覆った円錐形の住まいで暮らしていたそうで、それは赤羽末吉さんの絵からも読み取ることができます。

赤羽さんの描くヌーチェは、勇ましさの中にも少年のかわいらしさがあります。(登場するクマも愛らしい…)。

1959年雑誌「母の友」に「ヌーチェの水おけ」を発表した際、当時編集者だった松居直氏に、そのテーマを継続するようすすめられ、そこから「ちびっこカムのぼうけん」と「ヌーチェのぼうけん」が生まれたそうです。

「ヌーチェの水おけ」神沢利子・文 赤羽末吉・絵(ポプラ社)1970年8月発行.32p.25㎝.1000円

ちびっこカムのぼうけん (新・名作の愛蔵版) Book ちびっこカムのぼうけん (新・名作の愛蔵版)

著者:山田 三郎,神沢 利子
販売元:理論社
Amazon.co.jpで詳細を確認する

北の果てに住むカムは、かあさんの病気を直すイノチノクサを見つけるために火の山へとむかいます。火の山にはおそろしい大男のガムリイがいて、それをとりにいった人は、今まで誰一人として戻ってきませんでした。カムのとうさんもガムリイにはじきとばされ、北の海のシロクジラにかえられてしまったといいます。カムは火の山でガムリイから指輪を奪い、イノチノクサを採った後、とうさんの行方をさがしにいきます…。

あとがきによると、この物語の舞台は、ロシアのカムチャッカなんだそうです。カムチャッカは、サハリンのオホーツク海を隔てた対岸にあたります。カムチャッカには、ガムリイの伝説があり、火山群があるそうです。そして物語に登場するトリブラチー三兄弟の岩も実在するそうです。古びることなく、今読んでもおもしろいですよ。

「ちびっこカムのぼうけん」神沢利子・作 山田三郎・絵(理論社)1999年3月発行.236p.1200円

神沢さんの原風景は、少女時代を過ごした樺太にあったといいます。

飛ぶ教室 児童文学の冒険 第3号(2005秋) 特集神沢利子の世界 飛ぶ教室 児童文学の冒険 第3号(2005秋) 特集神沢利子の世界
販売元:セブンアンドワイ
セブンアンドワイで詳細を確認する

「飛ぶ教室(2005秋 №3)」2005年10月発行.207p.1000円

| | コメント (0)

世界の絵本 アフリカ・ガーナ

かわいいサルマ―アフリカのあかずきんちゃん Book かわいいサルマ―アフリカのあかずきんちゃん

著者:ニキ・ダリー
販売元:光村教育図書
Amazon.co.jpで詳細を確認する

「かわいいサルマ-アフリカのあかずきんちゃん」ニキ・ダリー作 さくまゆみこ訳(光村教育図書)2008年1月発行.25p.1500円

アフリカ・ガーナを舞台にした愉快な絵本です。

サルマは、おばあちゃんに頼まれて、市場へおつかいに出かけます。“まっすぐ行って、まっすぐ帰るんだよ。知らないだれかとおしゃべりしちゃだめよ”と言われたはずなのに、サルマは近道をしようとあやしい裏通りに入っていってしまいます。

サルマに声をかけてきたのは、オオカミではなく犬!犬にだまされ食べられそうになったサルマは、クモのアナンシの格好をして昔話をしているおじいちゃんのところまでにげていきます。

サルマに逃げられた犬はおばあちゃんの家へ。そこで目が悪くサルマが帰ってきたものだと思い込んだおばあちゃんを食べようとします…。

「サルマ、おまえのはなはどうしてそんなにぬれているんだい?」「サルマ、おまえのみみはどうしてそんなに毛深いんだい?」というセリフも出てきて、あかずきんちゃんのパロディ(?)としても楽しめます。

ニキ・ダリーさんの絵が気に入って、日本で他に出版されていないか調べてみると、文章で参加している「ぼくのアフリカ」(冨山房・1993年発行・絶版なので図書館で見て下さい)があるようです。

「かわいいサルマ」に出てくるアナンシは、ガーナに伝わる昔話の主人公で、クモの姿をしている英雄なんだそうです。アナンシの話はたくさんあるそうですが、その中のひとつとして…。

アナンシと6ぴきのむすこ―アフリカ民話より (ほるぷ海外秀作絵本) Book アナンシと6ぴきのむすこ―アフリカ民話より (ほるぷ海外秀作絵本)

著者:ジェラルド マクダーモット
販売元:ほるぷ出版
Amazon.co.jpで詳細を確認する

「アナンシと6ぴきのむすこ」ジェラルド・マクダーモット作 代田昇訳(ほるぷ出版)1980年10月発行.40p.20×23㎝.1500円

アフリカ・ガーナのアシャンティ地方で伝えられてきた民話です。

長い旅に出たクモ(蜘蛛)のアナンシが、あぶないめにあっていると、6匹のりっぱなむすこたちが助けにきてくれました。むすこたちは、それぞれの得意分野をいかして、アナンシの命を助けます。

みんなが帰った夜、森の中で光る大きな玉をみつけたアナンシは、助けてくれたむすこにそれをやろうとします。けれども、6匹のうちだれにほうびをあげていいかわからなかったアナンシは、ニヤメの神に相談しました。ニヤメの神は、それを空高く持ち上げ、誰からも見えるようにしました。

だからその光の玉(=月)は、今も空にあるんです…。

いかにもアフリカらしい鮮やかな色彩と大胆な構図に異国を感じます。

| | コメント (0)

世界の絵本(スリランカ)

かさどろぼう Book かさどろぼう

著者:シビル・ウェッタシンハ
販売元:徳間書店
Amazon.co.jpで詳細を確認する

「かさどろぼう」シビル・ウェッタシンハ・作・絵 いのくまようこ訳(徳間書店)2007年5月発行.24p.30㎝.1400円

スリランカの小さな村にすむひとたちは、まだかさをみたことがありません。あめがふったら、バナナやヤムいものはっぱ、ふくろやきれやかごなどをかぶって、あめをよけました。

ある日のこと、村にすむキリ・ママおじさんが、うまれたはじめてまちへ出かけました。そこでみんながさしていたかさを見て、「なんてきれいで、べんりなものだろう」と思い買って帰りました。

ところが、村に帰ってお店でコーヒーを飲んでいるうちに、かさはだれかにぬすまれてしまいました。キリ・ママおじさんは何度かさを買って帰ってもぬすまれてしまうので、ある作戦を立てることにしました…。

大きなはっぱや布をかぶって楽しそうに歩いている村の人たちの絵が、とてもいい!お国柄なのでしょうか…、大らかさが感じられる作品です。輪郭のはっきりした絵と、色使いがとても綺麗!人間と動物との関係が身近で、動物も村に住む一員として受け入れられているような印象をもちました。

作者のシビル・ウェッタシンハは、「きつねのホイティ」で有名ですね。

きつねのホイティ (世界傑作絵本シリーズ) Book きつねのホイティ (世界傑作絵本シリーズ)

著者:シビル ウェッタシンハ
販売元:福音館書店
Amazon.co.jpで詳細を確認する

「きつねのホイティ」シビル・ウェッタシンハ・作 まつおかきょうこ・訳(福音館書店)1994年3月発行.44p.31×23㎝

くいしんぼうぎつねのホイティが人間に変装して、ごちそうを食べにやってきます。おかみさんたちは、きつねだとわかっていながら、だまされたふりをしてごちそうをしてやります。うまくだましたと浮かれていたホイティですが、今度はおかみさんたちにぎゃふんといわされます…。

やはりこちらのお話も大らかといいましょうか、のんびりとした陽気さに溢れています。食べ物や住まいなど、スリランカの暮らしぶりや文化の違いも垣間見られます。シビル・ウェッタシンハの絵は遠目が聞くので、集団の読み聞かせにも使えます。低学年くらいから。

セレンディップ(=今のスリランカ)を舞台にしたおとぎ話もあります。

セレンディップの三人の王子たち―ペルシアのおとぎ話 (偕成社文庫) Book セレンディップの三人の王子たち―ペルシアのおとぎ話 (偕成社文庫)

販売元:偕成社
Amazon.co.jpで詳細を確認する

「セレンディップの三人の王子たち」竹内慶夫・編訳(偕成社文庫)2006年10月発行.201p.700円

むかし、東方の国セレンディップ(=今のスリランカ)に偉大な王がいた。王には三人の王子がおり、いずれも知恵と機転をそなえていた。しかし、王子たちの成長が、そこでとどまるのをよしとしない王は、彼らに旅をさせることにした…。

第一部は、ベーラム皇帝の国に入った三人の王子が、皇帝の信頼を得て、うばわれた<正義の鏡>を取り戻してくるまで。第二部は、病に倒れたベーラム皇帝が、三人の助言を受け、七つの宮殿をつくり七人の美女と七人の語り手を住まわせることになるのですが、その語り手が話した三つの物語を。第三部は、故国に帰った三人の王子のその後…が描かれます。

賢く機転が利き、しかもハンサム。まるで絵にかいたような王子たちが、次々と難問を解決し、予期せぬ幸運をつかんでいきます。絢爛豪華な世界が繰り広げられ、まさにおとぎ話~。羊飼いの娘を妻としたはずなのに、近隣の王国の王女と結婚する!?と驚いたら、一夫多妻の国のお話でした。

「偶然と才気によって、さがしてもいなかったものを発見する」という意味の“セレンディピティ”という言葉は、18世紀、幼年期にこの物語を読んだイギリスの作家ウォルポールがつくりだしたと言われています。

また、物語に登場するベーラム皇帝は実在した人で、宮廷の中に七つのドーム状のパビリオンを作って美女を住まわせ、物語を語らせたことが伝説となって伝えられているそうです。

| | コメント (0)

世界の絵本(ロシア)

きつねとうさぎ―ロシアの昔話 (世界傑作絵本シリーズ) Book きつねとうさぎ―ロシアの昔話 (世界傑作絵本シリーズ)

著者:フランチェスカ ヤールブソワ,ユーリー ノルシュテイン
販売元:福音館書店
Amazon.co.jpで詳細を確認する

「きつねとうさぎ」F・ヤールブソワ絵 Y・ノルシュテイン構成 こじまひろこ訳(福音館書店)2003年11月発行.32p.31×22㎝.1200円

ロシアの昔話です。

「ぼくのいえは 木のかわのいえ。きつねのいえは こおりのいえ。はるがきて こおりのいえは とけてなくなった。すると、きつねは ぼくのいえに むりやり はいって、ぼくを おいだし、いれてくれない」

と、うさぎがないていると、「じゃあ、いっしょに きつねを おっぱらおう!」と、おおかみもくまもうしも助けてくれようとするのですが…。

くりかえしの絵本です。同じフレーズが繰り返されるので、何度も読んでいるうちに、覚えてしまうほど。からだの大きな、力の強いどうぶつではなく、小さな意外などうぶつが、きつねをやっつけってしまうお話です。

どのページも枠の中に絵が描かれていて、まるで人形劇の舞台のようです。

| | コメント (0)

世界の絵本(インド)

ながいながいかみのおひめさま (アジア・アフリカ絵本シリーズ―インド) Book ながいながいかみのおひめさま (アジア・アフリカ絵本シリーズ―インド)

著者:ヴァンダナー ビシュト,コーミラー ラーオーテ
販売元:アートン
Amazon.co.jpで詳細を確認する

「ながいながいかみのおひめさま」コーミラー・ラーオーテ文 ヴァンダナー・ビシュット絵 木坂涼訳(アートン)2006年2月発行.1500円

昔、あるところに長い長い黒髪のパリニータというおひめさまがいました。パリニータの髪はそれはそれは見事で、お城の一番高い部屋の窓から地面にとどくほどでした。18歳の誕生日の前の日、お城ではお祝いのパーティが開かれ、王様はパリニータをお客の一人と結婚させようとします。まだ結婚をしたくなかったパリニータは、秘密の通路を抜けて、お城の外へと逃げ出します…。

初めて外の世界へと踏み出したパリニータは、困っている人や動物に自分の髪を分け与えます。やがて、きれいさっぱりと髪がなくなると(その姿がすごい!)、山の奥深くへと姿を消しました。おひめさまの気配(歌声)だけが、いつまでも残るのです。

ふだんあまり目にすることのない国の絵は新鮮でした。細い線で描かれた絵、鮮やかな色使いが、インドを感じさせます。

| | コメント (0)

世界の絵本(アフリカ)

ぼくのだいすきなケニアの村 Book ぼくのだいすきなケニアの村

著者:ケリー・クネイン
販売元:ビーエル出版
Amazon.co.jpで詳細を確認する

「ぼくのだいすきなケニアの村」ケリー・クネイン文 アナ・フアン絵 小島希里訳(BL出版)2007年4月発行.32p.28×29㎝.1500円

ケニアで暮らすカレンジン人の少年の一日を描いた作品。そこから食べ物や習慣などの暮らしぶりや、そこに共存する動物などがわかるようになっています。

文中に何度も「ホジ?」「カリブ!」という言葉ができますが、ケニアでは、よその人の敷地に入るときに、「ホジ?(だれかいる?)」と声をかけ、それにはきまって「カリブ!(どうぞようこそ)」という歓迎のことばがかえってくるそうです。

| | コメント (0)