「仏果を得ず」三浦しをん(双葉社)2007年11月発行.284p.1500円
日本の伝統芸能・文楽の世界を舞台にした青春小説。
なにかひとつの道にうち込んでいる成長物語…が好きな私としては、まさにツボで、すっかりハマって読みました。おもしろかったです。勝田文さんによる表紙の絵もまさにイメージ通りで、健も兎一郎も師匠の銀大夫も、私の頭の中では、この顔で動いてました。(そのせいか、コミックを読んでいるような感覚にも陥りました…。)
私のように文楽に全くなじみがなくても大丈夫。するっと物語に入っていけて、個性豊かなキャラクターに笑わせられ、芸に対してあつく真っ直ぐな健を応援し、読み終わった時には文楽を観てみたい!と思わせてしまうんだから、すごいです。
文楽の奥の深さ、芸の世界で生きる厳しさと、そこで生きていこうとする人たちの真摯な気持ちがひしひしと伝わってきました。
「あやつられ文楽鑑賞」三浦しをん(ポプラ社)2007年5月発行.265p.1600円
こちらは、文楽の世界にどっぷりはまった三浦しをんさんのエッセイです。
東京、大阪のみらなず、京都、愛媛にまで足を運んでの文楽観劇。「大夫」「三味線」「人形」それぞれの第一人者へのインタビューや楽屋拝見…、ウキウキワクワクドキドキのレポートが楽しい。
特におもしろかったのが、ストーリーのあちこちにつっこみを入れながら綴られる文楽作品の解説。わかりやすいし、おもしろすぎ。しをんさんが国語の先生だったら、古典がもっと身近なものになるのになぁ…なんてことを思いました。
是非「仏果を得ず」と合わせて読んでほしい本です。
文楽とはどのようなのもなのか。その背景を知ることで、よりおもしろさが深まります。
「物語で学ぶ日本の伝統芸能 4.文楽」(くもん出版)2004年4月発行.128p.27㎝.2800円
「仏果を得ず」で使われている「菅原伝授手習い鑑」「妹背山婦女庭訓」とは、どんな物語なのか、この本で読むことができます。
また、どんな舞台でどのように演じられているのか…が、初心者にもわかりやすく説明されています。
「仏果を得ず」の中ではあまり人形遣いが登場しませんが、「主遣い」「左遣い」「足遣い」の三人で動かす方法や、大夫と三味線が回転して登場する方法がわかります。健大夫と兎一郎はここに座るんだとわかっただけでも、ちょっと感激しました。
大夫が使用する床本の写真が掲載されていますが、なんと書いているのかまるでわからない独特の崩し文字に驚きました。
三浦しをんさんは、雑誌「yom yom」の中で働く女性を訪ね話を聞く連載をされていますが、この回のゲストは、女流義太夫三味線の鶴澤寛也さんです。
「yom yom(ヨムヨム)12月号 vol.5」平成19年11月27日発行.680円
文楽は、すべて男性で演じられる芸能ですが、これを女性だけで上演する形も江戸時代からあるそうです。(女性の場合は、人形はなく大夫と三味線だけの素浄瑠璃という形になるそうです)。女性が語ると艶っぽく風紀を乱すということで、幕府から禁じられるのですが、登録を男名前にして生き延びてきた芸能なんだそうです。
鶴澤寛也さんは、大学時代、義太夫協会の「義太夫教室」のチラシがきっかけとなって、この世界にはいったとか。