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2009年7月

絵本「ないしょのおともだち」

「ないしょのともだち」ビバリー・ドノフリオ文 バーバラ・マクリントック・絵 福本友美子・訳(ほるぷ出版)2009年5月発行.32p.25×28㎝.1600円

昔、大きな家にマリーという女の子が住んでいました。そして、その家の隅にはネズミの家族がいて、ネズミの女の子が住んでいました。

マリーもネズミもそれぞれ学校へ行き、同じような暮らしをしていました。

ある晩、マリーは夕飯の後片付けの時にフォークを落としました。ちょうど同じ頃、ネズミもスプーンを落としました。二人がそれを拾おうとした時に、初めてお互いの存在に気がつきます。

けれども両親から、ネズミには近寄らないように…、人間には近寄らないようにといつも言われていたので、お互いのことは内緒にしておきました。

その日から、マリーとネズミは毎晩フォークやスプーンを落とし、こっそりとお互いに手を振り合いました。

やがてマリーもネズミも大きくなって家を出て行きました。マリーは家族を持ち、大きな家に住みました。そしてその家の隅には、あのネズミ一家が住んでいました。

マリーの娘のマリアと、ネズミの娘のネズネズは同じような生活をし、ある晩、本を落としたマリアとネズネズは、お互いの存在に気がついて、毎晩手を振り合うようになります。

ある時、マリアとネズネズは、思い切ってお互いの家の中を覗き込みます。そして、大きなひそひそ声で言い合います。“おやすみなさい!”

親子二代続くないしょのともだち…。人間と同じような暮らしぶりをしているネズミが、かわいらしいです。

どことなくクラシックな香りがする絵がいいですね。細かく書き込まれた絵-特に糸まきの椅子や壁にかけられた腕時計や安全ピン・切手など、ネズミの家族はマリーの家族から拝借したもので生活していると思われます-を見ているだけで楽しいです。

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著者:ビバリー ドノフリオ
販売元:ほるぷ出版
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「ゲゲゲの女房」武良布絵

「ゲゲゲの女房」武良布枝(実業之日本社)2008年3月発行.252p.1200円

「ゲゲゲの鬼太郎」で知られる漫画家・水木しげるさんの妻・武良布枝さんの自伝。

水木さんを誰よりも身近に見てきた妻が、夫婦の道のりを語ります。

島根県安来市に生まれた布枝さんは、家業の手伝いをしていた29歳の時に結婚します。

相手は同じ島根県の境港市生まれで10歳年上、水木しげるのペンネームを持つ貸本マンガ家。彼はニューギニアの戦地で左手を失っていました。

お見合いから結婚式までわずか5日というスピード婚。挙式後すぐに上京し、東京調布での新婚生活がスタートします。

結婚してみると、描いても描いても売れず、子どものミルク代にも事欠くような貧乏生活が続いたそうですが、『テレビくん』で講談社児童漫画賞の受賞してから生活は好転。

「ゲゲゲの鬼太郎」のテレビアニメ化により、寝る暇もなかった多忙な時代。近年は、妖怪研究者として世界が広がり、1993年には島根境港市に水木しげるロードが誕生、2003年に水木しげる記念館がオープンし、故郷に帰ることも増えたといいます。

“水木は強烈な個性を持った人で、独自の生き様を貫いてきましたが、それとは対照的に、私は古い日本の女性の生き方を、そのままとおしてきたように思います” (あとがきより)。

夫唱婦随の夫婦で、夫を陰で支えるという言葉がぴったりの奥様。前に出ることなく、ひたすらついてきた。そして、すべてを受け入れる人生でしたと語っていますが、とてもおおらかで、肝の据わった働き者の奥様という印象を持ちました。

そこには、貧乏時代、左肩で原稿を押さえながら、ひたすらマンガを描き続ける後ろ姿を見て感動し、尊敬の念を抱いた…という奥様の思いがずっとあったのでしょう。

苦労もいろいろあったけど、夫を信じ続け、誰よりも応援してきた女性の半生。 まさに、サブタイトルにもなっている“人生は…終わりよければ、すべてよし!”。

(布枝さんには義母にあたる水木さんのお母さんの強烈なキャラには、ぶっ飛びましたが…)。

この本を原案としたNHK朝ドラが、来春(2010年)から始まります。ヒロイン役は松下奈緒さん。さらに、映画化も決まっていて、来年の初夏に公開予定とか。

ゲゲゲの女房 ゲゲゲの女房

著者:武良布枝
販売元:実業之日本社
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絵本「おおきなおとしもの」

「おおきなおとしもの」H.C.アンデルセン原作 ジャーン・ウォール文 レイ・クルツ絵 ともさかゆりえ訳(ほるぷ出版)1979年1月発行.32p.23×26㎝.1600円

おばさんが、めんどりが生んだたまご12個を町に売りに行くことにしました。たまごの入ったかごは頭の上、早足で町に向かいます。心はうきうき12個のたまごから、夢がいっぱい広がっていきます。

たまごを売ったお金でめんどりを増やし、そのめんどりが生んだたくさんのたまごは半分は売りに行って、半分はひよこにかえそう。そして儲かったら羊とガチョウと豚、牛を手に入れて、召使のいる大きなお屋敷に住もう。すると素敵な男性が結婚を申込みにくるだろう。私は鼻高々の奥様よと、上機嫌でつーんと上を向いたとたん、頭の上のたまごがみんな落ちて割れてしまいます。残ったのはたった1羽のめんどりだけ。おきのどく…。

アンデルセン原作のお話。

捕らぬ狸の皮算用という、ことわざ通りのストーリー。

おばさんがいろんなことを想像している時のウキウキした表情。そして、たまごが割れちゃった時のおばあさんのくやしがりようときたら。

私も宝くじが当たったら、どうしようこうしようと果てしなく夢は広がるので、おばさんのことは笑えません。世の中そううまくはいかないんですよね…。

同じようなお話として…。

「ひよこのかずはかぞえるな」イングリとエドガー・パーリン・ドーレア作 せたていじ・訳(福音館書店)1978年2月発行.40p.29×22㎝.

にわとりを飼っているおばさんが、めんどりがうんだ36個のたまごを町へ売りに行きました。その道々、売ったお金を手に入れたらどうしようかと、おばさんの空想はどんどんふくらんでいきます…。

こちらのおばさんは、たまごをわってしまっても、“でも、とことんわるいってわけでもないさね。わたしにゃ暮らしていける小さいうちがあるし、一人ぼっちにならないですむ犬と猫がいるし、毎朝起こしてくれるおんどりも、毎日たまごをうむ素敵なめんどりもいてくれるもの。素敵なめんどりがいるだけでも、なんて幸せなこったろう”と、大らかと言うか、楽天的です。

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絵本「はしれ!カボチャ」

「はしれ!カボチャ」エバ・メフト文 アンドレ・レトリア絵 宇野和美・訳(小学館)2008年10月発行.30p.26×24㎝.1500円

ポルトガルの昔話。

むかしむかし、おばあさんが孫娘の結婚式に出かけました。途中でオオカミとクマとライオンが次々とあらわれて「おまえをくってやる!」とおばあさんを脅かします。

おばあさんは「どうか食べないでおくれ!わたしゃすごくやせっぽっち。孫の結婚式に行ってくるから、帰りにゃもっと太っているよ」と言って難を逃れましたが、帰り道が怖くてたまりません。

そのことを孫娘に話すと、畑から一番大きなカボチャを取って来て中をくりぬき、その中におばあさんをつっこんで道にころがしました。

ころがっていくカボチャに「やい、カボチャ、ちっこいばあさんみなかったか?」とオオカミとクマとライオンが次々に尋ねます。

するとカボチャの中から声がしました。「みーなかったみなかった じいさんもばあさんもみなかった。ゴロロンゴロロン カボチャよはしれ!はしれよカボチャ ゴロロンローン!」。

あっけにとられている間にカボチャはころがっていき、おばあさんは無事におうちに帰りつきました…。

なんともユニークな繰り返しの絵本です。「三びきのやぎのガラガラどん」にもどこか似ていますね。

カボチャからにょっきりと出ている網タイツに赤いハイヒールがセクシー!ポルトガルのおばあさんはおしゃれですね。

遠目がききますので、ハロウィンの時期の読み聞かせにも使えそうです(内容はハロウィンとは関係ありませんが)。

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絵本「くらべっこのじかん」

「くらべっこのじかん」レスリー・エリー作 ポリー・ダンバー絵 もとしたいづみ・訳(フレーベル館)2008年7月発行.28p.28×22㎝.1200円

ソフィーとは仲良しだったのに、急に“わたし”をさけるようになった。休み時間も一人ぼっち。学校なんて全然楽しくない。

そんな時、学校でひまわりを育てることになった。うえきばちの数が足りないから、二人でひとつだって。“わたし”はソフィーとペアになった。二人の仲が悪いことを、先生も知ってるはずなのに…。

ともだちの絵本。

二人で植物を育て、誰よりも大きな花が咲いた時の感動が、ギクシャクした友だち関係をほぐしていきます。

見守りながらさりげなくアドバイスをする先生の存在がいい。自然な感じで友情を取り戻させていきます。

一部コラージュを使用したダンバーの絵。この方の絵は、かわいらしいくって好きなんです。

低学年くらいから。

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絵本「がたごとがたごと」

「がたごとがたごと」内田麟太郎・文 西村繁男・絵(童心社)1999年4月発行.32p.19×27㎝.1300円

電車とおばけという、男の子にとって最強の組み合わせ(!?)の絵本です。

おきゃくがのります ぞろぞろぞろぞろ がたごとがたごと がたごとがたごと おきゃくがおります ぞろぞろぞろぞろ

文章は、この繰り返しだけ。

絵も漠然と見ていると見逃してしまいそうなんですが、実はしかけがあるんです。

列車にたくさんの人たちが乗り込みます。街を越え、山を越え、列車に揺られ揺られて降りる時、お客さんは全く別の姿に変わってる!!

しかも列車が走るコースは、人間界や時空を越えて、どんどんエスカレートしていきます。

だれがどんな姿に変身したのか、乗り込んだ時の絵と見比べながらじっくりと探してみて!

幼稚園くらいから。

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絵本「かっぱのかっぺいとおおきなきゅうり」

「かっぱのかっぺいとおおきなきゅうり」田中友佳子・作・絵(徳間書店)2006年6月発行.32p.29㎝.1400円

かっぱの子ども・かっぺいは、日照り続きで喉はカラカラ、食べ物もなくなって、おなかをすかせていました。

かっぺいが「だいすきなきゅうりをおなかいっぱい食べたいなあ」と思っていると、大きなきゅうりを荷車に乗せたおじいさんが、向こうの道を歩いて行きました。

かっぺいは、おじいさんの後を追いかけることにしました…。

道の先にちらりと見える緑色のもの…。かっぺいは「大きなきゅうりだ!」と思って駆け寄りますが、毎回似ても似つかぬ違うもの…。次に何が登場するか、親子で予想しながら読んでも楽しいかも!?

ラスト、大きなきゅうりを食べるかっぺいの満足そうな顔と、みずみずしいきゅうりから豪快に降る涼しげな雨に満足満足の1冊です。

幼稚園くらいから。夏のおはなし会におすすめです。

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絵本「皇帝にもらった花のたね」

「皇帝にもらった花のたね」デミ作・絵 武本佳奈絵・訳(徳間書店)2009年4月発行.32p.27㎝.1500円

昔々、花を愛する皇帝がお世継を選ぶことになりました。

皇帝は国中の子どもに花の種を渡し、大切に育て、1年後に見せにくるようにと言いました。その中からお世継を選ぶというのです。

花を育てるのが大好きな男の子ピンも、皇帝にもらった種をまきました。ところが何日待っても芽は出てきません。どんなに世話をしても芽を出しません。

とうとう1年がたちました。国中の子どもたちは、自分の育てた美しい花を持って宮殿へ向かいました。ピンは芽が出なかったことを、とても恥ずかしく思いました。けれども、おとうさんに「おまえは一生懸命にできるかぎりのことをしたじゃないか。胸を張って、その植木鉢を皇帝にみていただきなさい」と言われ、出かけます…。

お話も絵も中華風だなと思ったら、著者のデミはアメリカ人ですが、中国人の夫から聞いた昔話などを数多く絵本にされている方なんだそうです。(ちなみに日本での翻訳出版は、この本が初めてだそうですが)。

小さくて色鮮やかな絵がとてもかわいらしい。全ての場面が丸い枠の中に描かれていて、陶磁器の絵を思わせます。

教訓が含まれた絵本ですが、自分がピンだったら、もしくはピンの親だったらどうするだろうと思いながら読みました。

なによりピンのお父さんが態度がいい。ついつい他の子のはみんな咲いてるに、自分の子のだけ芽が出なくてかわいそうだから…なんて、親として間違ったことをしてしまいそうですもん。

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著者:デミ
販売元:徳間書店
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「いしになったかりゅうど」

「いしになったかりゅうど」大塚勇三・再話 赤羽末吉・画(福音館書店)1970年12月発行.36p.23×32㎝.1400円

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モンゴルの民話。

若い親切な狩人ハイリブは、つるに襲われた白へびを助けたお礼に、鳥や獣のことばがわかる宝の玉をもらいます。そのかわり、動物から聞いたことは決して人間に話してはいけない。もししゃべってしまうと、石になって死んでしまうと言われます。

それからハイリブは、動物たちの言葉がわかるため、狩がとても楽になりました。

月日が流れたある日、山奥でたくさんの鳥の群れが「あしたはここらの大きな山がくずれるぞ。大水があふれだし、みんな溺れて死んじまうぞ!」と言いながら、逃げていきました。

それを聞いたハイリブは、大急ぎで戻り「早く、他のところに移ろう!ここにいたら大変だ!」とみんなに言いますが、誰一人信じてくれません。

そんなことを言い出したのには訳があるのかと問いつめられたハイリブは、みんなをほっといて自分だけ逃げ出すことはできないと、動物のことばがわかる宝の玉を手に入れた経緯を話し出します。話しているうちにハイリブは石に変わってしまいました。

みんなは石になったハイリブを見て、悲しみながらも急いで逃げ出します。

あくる朝、大雨で山が崩れ、大洪水になります。逃げ出すことができた人々は、ハイリブのおかげだと感謝し、ハイリブだった石を探し出します。それは山の上に祀られ、今でも「ハイリブの石」と呼ばれているそうです。

今年2009年の3月に福音館から限定復刻された絵本20冊の1冊です。

自分の命を犠牲にしてみんなを助けた男の話。日本ではこの話が有名でしょうか。

「八郎」斎藤隆介・作 滝平二郎・画(福音館書店)1967年11月発行.32p.31×24㎝.1100円

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著者:斎藤 隆介
販売元:福音館書店
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秋田の八郎潟の由来の話。

昔、秋田の国に心優しい大男、八郎が住んでいた。

ある日、海が荒れて、田んぼに海水が入り込んで困っている村人たちのために、山を持ち上げ、海の中に放りこみ、水が入ってくるのをせき止めた。

けれども、もっと大きな波がやってきて大騒ぎになった時、さっき沈めた山の隣に行って、両手を広げ、寄せてくる波を押し返した。

「わかったあ!おらがなしていままで、おっきくおっきくなりたかったか!おらはこうしておっきくおっきくなって、こいうしてみんなのためになりたかったんだ…」

八郎が海に放った山は、寒風山。八郎は八郎潟となった…。

秋田を舞台に、もう一人、村人たちの暮らしを守るために命を捧げた大男の話があります。

「三コ」斎藤隆介・作 滝平二郎・画(福音館書店)1969年8月発行.32p.31㎝.1100円

三コ #日本傑作絵本シリーズ# 三コ #日本傑作絵本シリーズ#

著者:斎藤 隆介
販売元:福音館書店
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秋田の南、オイダラ村にずっと昔から生きていると言われている、心優しい大男・三コがいた。

三コは、仕事のないオイダラ村のオンチャ(土地を分けてもらえない次男坊・三男坊)のために、はげ山だったオイダラ山に木を植えた。

ところがある夜、そのオイダラ山が火事になった。三コは「いいかァ、火がきえたら、焼けあとには木を植えるんだゾゥ。」という言葉を残し、大きな体で燃えさかるオイダラ山に覆いかぶさり、山を守った…。

「八郎」は秋田弁で書かれていますが、「三コ」は標準語で書かれています。

この本も3月に福音館から限定復刻された絵本20冊の1冊です。

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絵本「かじかびょうぶ」

「かじかびょうぶ」川崎大治・文 太田大八・絵(童心社)2004年5月発行.32p.28×22㎝..1600円

伊豆に伝わる民話です。

昔々、古くから栄えた家の主の菊三郎は、なまけ者で、毎日遊んでいるうちに、たくさんあった山も畑も売り尽くし、とうとうかじかざわの奥山を売らなければならなくなった。

そこで菊三郎がその奥山を見に出かけると、彼の前にかじかのとうりょうが現れて、「このかじかざわだけは売らないで下さい」と懇願された。

必死にお願いされた菊三郎は、なんとかしてかじかざわを売らずにすませようと、家財道具をかき集めて売り払った。残ったのは何の値打ちもない古ぼけたまくらびょうぶだけ。

その晩、菊三郎は、何百という楽しそうなかじかの鳴き声を聞いたような気がした。そして、目覚めると、まくらびょうぶに何百というかじかの絵が描かれていた。

そのかじかびょうぶは、評判になり、ゆずって欲しいという人もたくさん現れたが、菊三郎はどうしても手離す気にはなれなかった。

そうして、なまけ者だった菊三郎は、まるで人が変わったように働き者になり、昔のように豊かな家になった。人柄も昔とは違い、貧しい人や困っている人にも親切で、村中の人たちから慕われるようになった。

やがて、菊三郎は80歳を越えるじいさまになり、ねたきりの体になった。そんなある日、殿様の使いで大勢の家老がやってきて、天下に評判のかじかびょうぶを売れと、枕元にたくさんの千両箱を積み上げた。

菊三郎が、「大事な屏風なので、相手が殿様でも手放すことはできません」と断ると、家老は腹を立て、屏風を奪い取ろうとする。

すると、かじかびょうぶから、何百というかじかが這い出していって、ただの古い紙のびょうぶに変わってしまった。

「それでよいのじゃ。みんなかじかざわへ帰るがよい」と、菊三郎はにっこり笑って大往生をとげたという。

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2009.7.22皆既日食(2)

「黒い太陽のおはなし-日食の科学と神話」寮美千子・文 佐竹美保・絵(小学館)2009年7月発行.48p.31㎝.1600円

副題にある通り、日食が起こる仕組みなど科学的な説明と、その日食を題材に創られた神話が合わさった絵本です。

太陽と月と地球が、なかなか一直線にはならない(つまり、なかなか日食にならない)訳とは?

月よりずっとずっと大きい太陽が、日食の時、月と同じ大きさに見える訳とは?

…という疑問に答えてくれます。

そして、大昔の人が、なぜ太陽が欠けるのかという物語を想像し、神話として残っているものの中から、日本、アイヌ、インドと、3つの神話が取り上げられています。

・天の岩戸に隠れた太陽の神様(日本の神話)

話の内容は、こちら

・太陽を魔物から救ったカムイ(アイヌの神話)

「国際理解にやくだつ世界の神話 1.日本の神話」(ポプラ社)の中でも、“日の女神を魔神からすくいだす話”として、紹介されています。

魔神が日の女神を閉じ込めてしまったので、人間界は真っ暗闇になりました。助けに行った神々はみんな見つかって、赤ん坊にされてしまいます。そこで人間の祖とされるアイヌラックルと、大神であるケムシリ山の神が日の女神を助けに出かけます。アイヌラックは、そよ風に変身して、閉じ込められている柵をするりと通り抜け、赤ん坊にされた神々と日の女神を助け出します。そして、雲の小船を作って女神を乗せ、空めがけて投げあげると、世界は再び日の光にてらされました。

その後、アイヌラックは、魔神を地底の世界へおびき出し、ケムシリ山の神と力を合わせて、6年もたたかいつづけ、ついに魔神を地獄の底に蹴落としました。

・アムリタを飲みそこねた悪魔(インドの神話)

不老不死の薬“アムリタ”。この神話には、太陽の光明を神として崇拝したヒンドゥー教の神ヴィシュヌが登場します。ヴィシュヌは、4本の手に、ほらがい、円盤、こん棒、蓮華(れんげ)を持っているそうですが、佐竹さんが描いた絵でもちゃんと持っています。

小学生から大人まで読める日食の本です。

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絵本「わたしのくまさんに」

「わたしのくまさんに」デニス・ハシュレイ・文 ジム・ラマルシェ・絵 今江祥智・訳(BL出版)2004年9月発行.32p.23×29㎝.1300円

ある夏の午後、森にすむくまは、丸太小屋の前の大きな木の下で椅子に座り、本を読んでいる女の人を見かけた。くる日もくる日もくまはそこにやってきて、木のかげから本を読む女の人を見つめていた。

文字や本というものが、どんなものかわからなかったくまは、女の人がいつも見ていて、笑ったり怖がったり、もの思いにふけったりするものが、なんなのか知りたかった。

ある時、女の人がくまに気づいて微笑みかけた。「いらっしゃい。ここへくるのよ、くまさん」。

それから毎日のようにくまは女の人のところにやってきて、本を読んでもらった。

秋になって女の人はいなくなったが、くまのためにたくさんの本を残しておいてくれた。<わたしのくまさんに>という紙とともに。

くまは、自分の巣穴に本を運び、本にうずもれるようにして長い冬眠に入った。眠っている間でも、くまには表紙にさわっていれば女の人が読んでくれる声が聞こえてくるのだ…。

絵本の中に入りたい、この景色の中に身を置きたいと思いましたね。くまと女の人が、物語と通して共有した幸せな時間が伝わってくる絵本です。

本全体の色合いといい、本をモチーフにした内容といい、秋に読みたい絵本。

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著者:デニス ハシュレイ
販売元:BL出版
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2009.7.22皆既日食(1)

7月22日、46年ぶりとなる皆既日食が屋久島や奄美大島、トカラ列島周辺で、その他の日本各地では部分日食が見られます。

太陽と地球の間に月が入り、3つの天体が一直線に並ぶことによって、月が太陽をすっかり隠してしまう現象が皆既日食です。

今回の皆既日食では、住民が70人ほどの小さな離島、トカラ列島・悪石島が一番長くて、10時53分から59分までの6分25秒の天体ショーとなるようです。天気がいいといいですね。

ちなみに、太陽の一部分だけが隠れるのが部分日食、太陽を隠しきれず周りがはみ出して見えるのを金環日食と言います。

次に日本で見られる皆既日食は、26年後の2035年9月2日。関東でも見られるようです。

日食の種類や、起こるしくみ、なぜ右(西側)から欠けていくのかなどが、小学生にもわかるように書かれた本です。

「なるほどナットク“自然現象” 1(日食・月食・オーロラ)」2009年2月発行.48p.(学研)3000円

なるほどナットク“自然現象” #1# なるほどナットク“自然現象” #1#

著者:渡部 潤一
販売元:学研
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「天体観測100年絵辞典」(PHP研究所)2007年6月発行.79p.2800円

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日本神話のひとつ、“天の岩戸伝説”のアマテラスの岩戸隠れは、当時の日食を表していると言われているそうです。

「あまのいわと(日本の神話 第二巻)」赤羽末吉・絵 舟崎克彦・文(あかね書房)1995年10月発行.32p.23×31㎝.1942円

海を治めていた荒くれ者の須佐之男(スサノオ)は仕事もせず、始終地団駄ふんで泣きわめき、世の中はすさんでいた。父親の伊邪那岐(イザナギ)がその訳を尋ねると、亡き母が恋しく、黄泉の国に行きたくて泣いていると言う。

わがままを言うなら、とっとこの国から出て行けと言われた須佐之男は、その前に姉の天照(アマテラス)大御神に会いに高天の原(たかまのはら)を訪れる。

初めは弟・須佐之男をかばっていた天照だったが、そこでの須佐之男の数々の乱暴な行ないを見かねて、天の岩戸という洞窟に身を隠し、扉を閉ざすと出てこなくなった。

日の神の天照が姿を消すと、世の中は真っ暗闇。よくないことが次々に起こり、国は見る間に乱れ始めた。

困り果てた神々は、はかりごとをめぐらして、岩戸の前で踊り騒ぎ笑いころげて天照を誘い出す。あまりのにぎやかさに何事かと隙間から覗いた天照を外へ引き出して、ふたたび日の光を取り戻した。

あばれ者の須佐之男はというと、やがて高天の原を追い払われることになるのである…。

       ※ 2009.7.22皆既日食(2)は、こちら

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「縞模様のパジャマの少年」ジョン・ボイン

「縞模様のパジャマの少年」ジョン・ボイン作 千葉茂樹・訳(岩波書店)2008年9月発行.234p.1800円

物語は、軍人の息子-9歳のブルーノの視点から語られます。

1942年、ブルーノは父親の“重要な”仕事のために、家族全員でベルリンから遠い場所に引っ越すことになった。

新しい家の周りには一軒も家がなく、遊ぶ友だちもいない。気味の悪い場所と感じたブルーノは、ベルリンに帰りたいと父親に訴えるが、聞き入れてもらえない。

ブルーノの部屋の窓からは、巨大な金網のフェンスや、からまりあう有刺鉄線、そして遠くに見える無数の小屋には、縞模様のパジャマに縞模様の布の帽子と、みんな同じ格好をしている何千人という人々が見えた。

暇をもてあまし、一人で外へ探検に出かけたブルーノは、絶対に近づいてはいけないと言われていた巨大なフェンス沿いを歩いているうちに、フェンスの向こう側にいる縞模様のパジャマをきた少年と出会う。同じ年の同じ日に生まれたその少年シュムエルとブルーノは、誰にも言わない秘密の友だちになる。

それからブルーノは、フェンス沿いに長い距離を歩いて、シュムエルに会いに行くようになった…。

フェンスの向こう側にどうしてたくさんの人がいるのか?父親がどんな仕事をしているのか?読者には少しずつ事情が見えてきますが、ブルーノは何も知らないという設定です。

息子の出世と仕事を嘆き怒って家を出て行ったお祖母さん、メイドのマリア、給仕係のパベル、父親の目を盗んで兵士と仲良くなる姉…。みんな何かを知っていたけれど、幼いブルーノには言葉を濁して何も言わない。なんの情報も入らない上、そんなとんでもないことをしているとは、子どもには想像さえもできない。

シュムエルからフェンスのそちら側の話を少しずつ聞いていくことになりますが、ブルーノは最後まで本当のところは何にも理解していなかったのではないかと思わせます。状況ばかりか、友だちだというシュムエルの気持ちさえも。

だから、シュムエルに対しても無邪気に無意識に傷つける言葉も発してしまう。私にはその無邪気さが無性にこわかったですね…。

ラスト近く、もしかしてこんなことになるのでは…と予測したことがまさにその通りに…。衝撃的な結末です。収容所で行っていた大虐殺では、まったく個人の“顔”など見ていなかったという証を感じさせました。

話の中に引き寄せられるようにして、最後まで一気読み。夏休みにぜひ一読を。

今年(2009年)第55回青少年読書感想文全国コンクール高等学校の部の課題図書。

また、来月8月には、『ブラス!』を撮ったマーク・ハーマン監督によって、この本を原作とした映画が公開になります。映画の公式サイトは、こちらです。

縞模様のパジャマの少年 縞模様のパジャマの少年

著者:ジョン ボイン
販売元:岩波書店
Amazon.co.jpで詳細を確認する

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絵本「イグアノドンとちいさなともだち」

「イグアノドンとちいさなともだち」V.ベレストフ・詩 松谷さやか・訳 小野かおる・絵(小学館)2008年3月発行.32p.23×29㎝.1600円

ロシアの詩人V.ベレストフの詩を、絵本にしたもの。

人間が現れる前のはるか昔の地球。

そこでくらしていた恐竜イグアノドンの前にあらわれたのは、翼竜のプテロダクチルス。巨大なイグアノドンからみると、プテロダクチルスは小鳥のような小ささだったが、ふたりは仲良しになった。

プテロダクチルスは、姿は小鳥のようだったが、しゃがれたうなり声をあげるだけで、他の歌い方は知らなかった。けれでもイグアノドンは、その声を聞くとうれしくて、心ときめかせた。

なぞならそれが、この世ではじめての歌だったから…。

小野かおるさんの描くイグアノドンの表情が、すごくいいんです。イグアノドンが、プテロダクチルスを大事そうに愛おしく見つめる姿が、なんとも微笑ましい。幸せそうな顔をしています。

地球で初めて歌われた歌は、太古の昔から長い長い年月を経て、今、おかあさんが赤ちゃんに歌っている子守歌につながっています。そしてその姿を、うれしそうにこっそりと窓からのぞいているのは、なんとイグアノドンとプテロダクチルス!

太古の昔からつながってきたいのちを感じさせる絵本です。

イグアノドンとちいさなともだち イグアノドンとちいさなともだち

著者:小野 かおる
販売元:小学館
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同じV.ベレストフの詩を絵本にしたものとしては、こちらの方が有名かな。

「だくちるだくちる-はじめてのうた-」V.ベレストフ・原案 阪田寛夫・文 長新太・絵(福音館書店)1993年11月発行.32p.31×23㎝.1300円

…イグアノドンは うれしかった

だるくちを きくと うれしかった

うれしくて うれしくて どんどんうれしくて

もう どんどん ばんばん うれしかった

だって それは

はじめての うただったから

イグアノドンが ちいさな ともだちに あったとき

そのとき はじめて ちきゅうに うまれた

いちばん はじめの うただったから

プテロダクチルスの鳴き声を、“だくちる だくちるる”という言葉で表現した詩人の阪田さんと、ダイナミックな色使いの長新太さんの絵。

火を噴く火山、イグアノドンの大きな足音、プテロダクチルスがうなる“だくちる だくちるる”という鳴き声…。絵本の中からいろんな音が聞こえてくるような気がしました。

ともだちができた嬉しさ、喜びにあふれている絵本です。

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「虎と月」柳広司

「虎と月」柳広司(理論社)2009年2月発行.250p.1400円

父は虎になった。幼い頃から、そう聞かされて育った。父の名は李徴。

虎になった父に会ったという、父のかつての友人・袁参からもらった手紙には、父がその場で詠ったという一遍の漢詩が書かれていた。

父が虎になったのだとすれば、息子の自分も、いつか虎になってしまうのではないかと不安になった14歳のぼくは、父はなぜ虎になったのか、その理由をさがすために、南へと旅に出た…。

中島敦氏の『山月記』から生まれた物語。

虎になった真相を、ミステリー仕立てで読ませます。

後半、一気に読ませる鮮やかな謎解きでは、なるほどそうきたかと納得、納得。

『虎の月』は、李徴はなぜ虎になったのか、その息子が答えを探しに旅に出るという設定なので、もとになった『山月記』を先に読んだ方が、より面白く読めます。

虎と月 #ミステリーYA!# 虎と月 #ミステリーYA!#

著者:柳 広司
販売元:理論社
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「少年少女日本文学館17 ちいさこべ・山月記」(講談社)1986年11月発行.294p.2000円

中国・唐の時代に、官職を退き、詩人として名を成すつもりがうまくいかず、次第に世と離れ、人と遠ざかり、臆病な自尊心と尊大な羞恥心から、とうとう虎の姿になってしまった男・李徴の物語。

遠い昔、学校で習ったことを思い出しました…。原文は難しい言葉が多くて読みにくいのですが、この本は説明注釈付きなのが嬉しいです。

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絵本「あこがれの機関車」

「あこがれの機関車」アンジェラ・ジョンソン作 ロレン・ロング絵 本間浩輔・本間真由美・共訳(小峰書店)2008年9月発行.32p.25×29㎝.1500円

乗り物の絵本かなと思って手にとりましたが、ちょっと違いました。

20世紀初頭、ミシシッピの綿花畑のそばを飛ぶように走っていく蒸気機関車キャノンボール。

綿花畑で長時間つらい労働をしている黒人たちにとって、それはあこがれの機関車で、機関士ケーシー・ジョーンズは、彼らのヒーローだった。

アイスランド人のケーシー・ジョーンズは、黒人のシム・ウェッブを助手にして、疾走していく。ケーシーの鳴らす長い汽笛は、彼らに夢と希望をもたらしていた。

綿花畑で働く“ぼく”は、仕事帰り線路づたいに歩きながら、機関車が旅する大きくて広い世界に思いをはせる。

しかし、1900年4月30日、嵐の夜に起きた衝突事故で、ケーシーは悲劇的な死を遂げる。

「これでなにもかも終わりなの?」と問うぼくに、「これからだって必ず現れる」と父さんは話してくれた。父さんがぼくの手を握ってくれた時、ぼくはケーシーのほかにもヒーローがいることに気づいた…。

実在した機関士-殉職したジョン・ルーサー・ケーシー・ジョーンズのことは、歌にもなっていて、アメリカでは有名なんだそうです。衝突を避けられないと悟ったケーシーは、助手のシム・ウェッブに飛び降りろと命じ、彼の命を助けたということです。

ケーシーの機関車に夢と希望を託した黒人たちの物語。

詩的な文章。力強い絵。

歴史的背景までを理解して読むには、中学生以上から。大人の絵本と言えるでしょう。

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「落窪物語」

「落窪物語(少年少女古典文学館 3)」氷室冴子(講談社)1993年12月発行.301p.1800円

継子いじめにあっていた姫のシンデレラストーリー。

最後まで、ど~なるの??と、ハラハラドキドキしながら読みました。なんとも痛快で、おもしろかった!

皇族の血をひく、聡明で美しい娘は、実母の死後、継母にいじめられ、つらい日々を送っていた。床の落ちくぼんだ粗末な部屋をあてがわれ、おちくぼの君と呼ばれていた姫は、みずぼらしい身なりで、縫いものをおしつけられ、こき使われていた。

父親の中納言は、妻の北の方にまるめこまれて、言いなり。おちくぼ姫の力になってくれるのは、母君が生きていた頃から仕えてくれている侍女の阿こぎだけ。

阿こぎの夫・帯刀から、おちくぼ姫の身の上を聞いた右近の少将は、興味をそそられ、屋敷のほとんどの者が石山詣でに出かけた時に忍のびこむ。美しい姫を見てすっかり心惹かれた少将と、彼が心の支えとなったおちくぼ姫は、密かに結婚する。

通う恋人ができたと感づいた北の方は、おちくぼ姫を物置部屋に閉じ込めて、貧しい年寄りと結婚させようと悪だくむ。

おちくぼ姫は、少将の手で中納言邸から無事に救い出され、幸せに暮らし始めた。その一方で、少将はおちくぼ姫への仕打ちを恨んで、北の方に仕返しを始め、中納言家は災厄続きとなる…。

最終的に、仲直りの立役者となるのは、北の方からつらい目に合わせられながらも、おっとりと心やさしいおちくぼ姫。おっとりとやさしい姫よりも、しっかり者で気の利く阿こぎや、どこまでも強気であっぱれな北の方のほうが、キャラクター的にはおもしろかったですね。

「なんて素敵にジャパネスク」を彷彿とさせる、生き生きとしたキャラクター、軽快に読ませていくテンポの良さは、現代語に訳した、今は亡き氷室冴子さんの力によるものが大きいでしょうか。

平安時代に書かれた原文、「落窪物語」の作者は、わかっていないそうです。

難しい言葉には、細やかな解説付き。中高生向きのシリーズですが、読みやすいし、大人が読んでもおもしろいです。

落窪物語 #少年少女古典文学館 3# 落窪物語 #少年少女古典文学館 3#

著者:氷室 冴子
販売元:講談社
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