「くじらのバース」村上康成(ひさかたチャイルド)2008年2月発行.27×22㎝.40p.1300円
ナリンは、南の小さな島に住む男の子。毎日野球の練習にあけくれますが、なかなか上手くなりません。冬のある日、風のにおいに気がついて海にきてみると、ザトウクジラのバースが戻ってきていました。
ナリンとバースは同い年。ナリンが生まれた年、バースもここの海で生まれました。
夏の間、バースはエサを求めて遠い北の海に行き、長い長い旅をしてこの島の海で冬を過ごします。あたらしい春がきた時、ナリンの野球の腕は上がり、バースには赤ちゃんが生まれました…。
村上さんの描く青い青い海の色と空の色が、ホントに気持ちいいー。絵本のサイズに収まりきらない、広がりを感じさせます。“エメラルドの風”に、“ライム色の月”…。実際行ってみると、そんな言葉がぴったりするのかもしれませんね。行ってみたいなぁー。つかの間の南の島体験を満喫できました。
ザトウクジラといえば、アラスカで撮影された星野道夫さんの写真が思い浮かびます。
「アラスカ」星野道夫(朝日新聞社)1990年5月発行.91p.5800円
ザトウクジラは、夏はえさの豊富なアラスカの海、冬は出産や子育てに適したハワイ諸島などの南の海へと、毎年片道七・八千キロにもわたる大回遊をくりかえしているそうです。
「クジラ」水口博也(金の星社)2004年12月発行.112p.22㎝.1200円
ザトウクジラの回遊を追ったノンフクション。表紙の写真のようにクジラが海面に体をおどらせる行動は、「ブリーチ」と呼ばれているそうです。これは体についた寄生虫をはらい落とすためだとか、水音を仲間との合図につかうためだとか言われているそうですが、本当のところはまだよくわかっていないそうです。
ザトウクジラの尾ビレの裏側は、人間の指紋のように一頭一頭違うこと。集団で行なう特徴あるえさのとり方(一頭のクジラが、海中で息をはきながら泳ぎ大きな泡の円を作り出す→仲間のクジラたちが、えさとなるニシンをその泡の円の中に追い込んでいく)など、クジラの生態やくらしぶりが、小学生にもわかりやすく説明されています。
ザトウクジラの雄は、冬から春先にかけての繁殖の季節、海中遠くまで声を響かせます。その調べは「クジラの歌」と言われているそうです。クジラの歌と聞いて思い出したのが、こちらの絵本です。
「くじらの歌ごえ」ダイアン・シェルダン作 ゲイリー・ブライズ絵 角野栄子・訳(BL出版)1998年6月発行.24×30㎝.1360円
冬には南へ、夏には北へ向かって迷わずに旅をするザトウクジラ。けれども仲間からはぐれてサンフランシスコ湾のゴールデンゲートブリッジの下までさまよってきたクジラがいました。1985年10月、本当にあったお話です。
迷い込んだのは、長さ14メートル、重さ40トンの大きなクジラ“ハンフリー”。
ハンフリーは、サクラメント川をのぼり、狭い橋げたをすりぬけ上流に行ってしまいました。これ以上先に行くと、川幅も川底も狭くなり、Uユータンできなくなる。科学者や沿岸警備隊の人たちは、苦しそうにしているハンフリーを救おうと、試行錯誤します。人々が見守る中、ハンフリーは、無事に海に戻ることができるでしょうか?
「クジラのハンフリー」ウェンディ=トクダ.リチャード=ホール作 末吉暁子・訳 ハナコ=ワキヤマ・絵(国土社)1990年11月発行.32p.1200円