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2008年1月

世界の絵本・サハリン

ヌーチェの水おけ Book ヌーチェの水おけ

著者:神沢 利子
販売元:ポプラ社
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主人公となるのは、北国に住む男の子ヌーチェ。まだちびっこのヌーチェが、ひとりでマスを捕りに行く時も、あざらしを捕りにいく時にも、かあさんは亡くなったとうさんがつくった水おけを持たせてくれました。その水おけのおかげで見事に獲物を得て、かあさんのもとに持って帰ることができたのです…。

作者は、幼少期をサハリンで過ごされた神沢利子さん。神沢さんのあとがきによると、“オロッコの子どもヌーチェの物語”となっています。

オロッコとは、サハリンに住む先住民族のこと(現在は、ウィルタと呼ばれています)。トナカイ牧畜や狩猟、漁労を生業とし、木の幹を組んだものを柱とし外部を毛皮で覆った円錐形の住まいで暮らしていたそうで、それは赤羽末吉さんの絵からも読み取ることができます。

赤羽さんの描くヌーチェは、勇ましさの中にも少年のかわいらしさがあります。(登場するクマも愛らしい…)。

1959年雑誌「母の友」に「ヌーチェの水おけ」を発表した際、当時編集者だった松居直氏に、そのテーマを継続するようすすめられ、そこから「ちびっこカムのぼうけん」と「ヌーチェのぼうけん」が生まれたそうです。

「ヌーチェの水おけ」神沢利子・文 赤羽末吉・絵(ポプラ社)1970年8月発行.32p.25㎝.1000円

ちびっこカムのぼうけん (新・名作の愛蔵版) Book ちびっこカムのぼうけん (新・名作の愛蔵版)

著者:山田 三郎,神沢 利子
販売元:理論社
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北の果てに住むカムは、かあさんの病気を直すイノチノクサを見つけるために火の山へとむかいます。火の山にはおそろしい大男のガムリイがいて、それをとりにいった人は、今まで誰一人として戻ってきませんでした。カムのとうさんもガムリイにはじきとばされ、北の海のシロクジラにかえられてしまったといいます。カムは火の山でガムリイから指輪を奪い、イノチノクサを採った後、とうさんの行方をさがしにいきます…。

あとがきによると、この物語の舞台は、ロシアのカムチャッカなんだそうです。カムチャッカは、サハリンのオホーツク海を隔てた対岸にあたります。カムチャッカには、ガムリイの伝説があり、火山群があるそうです。そして物語に登場するトリブラチー三兄弟の岩も実在するそうです。古びることなく、今読んでもおもしろいですよ。

「ちびっこカムのぼうけん」神沢利子・作 山田三郎・絵(理論社)1999年3月発行.236p.1200円

神沢さんの原風景は、少女時代を過ごした樺太にあったといいます。

飛ぶ教室 児童文学の冒険 第3号(2005秋) 特集神沢利子の世界 飛ぶ教室 児童文学の冒険 第3号(2005秋) 特集神沢利子の世界
販売元:セブンアンドワイ
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「飛ぶ教室(2005秋 №3)」2005年10月発行.207p.1000円

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絵本「だるまだ!」

だるまだ! (ciel books) Book だるまだ! (ciel books)

著者:高畠 那生
販売元:長崎出版
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「だるまだ!」高畠邦生(長崎出版)2008年1月発行.24㎝.1400円

海の向こうから流れてくるもの。それは大量のだるま。しかもなぜかリーゼント頭のだるま…。

読んでるこちらは、なぜ?なんのために?という疑問がふつふつと湧いてきますが、そんなことには一切触れません。そしてなぜかだるまだらけの街の中。あっちにもこっちにも、あんなところにもこんなところにも…。

ストーリーに意味を求めてはいけません。可笑しいんだか、怖いんだかで、強烈な印象を残します。ラストには、またあらたたものが…。ふふふ。

子どもたちより大人に受けそうな絵本です。

今、だるまが流行なのでしょうか、時を同じくして、こんな絵本も出ています…。

だるまさんが Book だるまさんが

著者:かがくい ひろし
販売元:ブロンズ新社
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「だるまさんが」かがくいひろし作(ブロンズ新社)2008年1月発行.19㎝.850円

“だ・る・ま・さ・ん・が”、からだをゆらしたその後は?

どでっと転ぶ、ぷしゅーと空気が抜けてつぶれる、ぷっとおならする、びろーんとのびる…。どれも正解です。

かわいらしいだるまさんが、どんな変化をするか楽しみにして読んで下さい。赤ちゃんと小さい人たちに。幼稚園児に読んでも受けそうですよ。

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絵本「かえるをのんだととさん」

かえるをのんだととさん―日本の昔話 (こどものとも絵本) Book かえるをのんだととさん―日本の昔話 (こどものとも絵本)

著者:日野 十成
販売元:福音館書店
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「かえるをのんだととさん(こどものとも傑作集)」日野十成・再話 斎藤隆夫・絵(福音館書店)2008年1月発行.32p.20×27㎝.800円

腹が痛くなったととさん(旦那さん)は、かかさん(奥さん)からお寺のおしょうさまにきいてみなさるといいと言われ、相談に行きます。

おしょうさまから「そりゃなあ、はらのなかにむしがおるせいじゃ、かえるをのむといいぞ」と言われて、かえるをのみこんだととさん。はらはなおったが、はらの中をかえるがぺたらぱたらと歩く。それでまた、おしょうさまのところにいくと、今度はへびをのむといいぞと言われます。その後も、きじに、漁師に…と、ととさまは、言われるがままにいろんなものをのみこみむことになります…。

昔話なので、ありえないことなんですけど、すごくおもしろい!とぼけた感じの絵も、いい味だしてます。

文章もテンポよく、「かかさんやぁ」と呼ぶと、なにも聞かずに「おしょうさんにききなされ」というかかさんとのやりとりも楽しいです。

ラスト、おにをのみこんだととさんの口にまめを投げ入れて、おにを退治する場面が出てくるので、節分に読む絵本としても使えます。

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絵本「ツルとタケシ」

ツルとタケシ―沖縄いくさ物語 宮古島編 (沖縄いくさ物語 (宮古島編)) Book ツルとタケシ―沖縄いくさ物語 宮古島編 (沖縄いくさ物語 (宮古島編))

著者:儀間 比呂志
販売元:清風堂書店
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戦時中の宮古島が舞台で、ハンセン病を題材にした絵本です。

タケシの妹ツルが、6歳の時、ハンセン病にかかっていることがわかり、島の療養所に入れられました。今でこそハンセン病は感染力も弱く、治療すれば必ず直る病気だと知られていますが、その当時国は、らい病予防法という法律を作って療養所にとじこめたのです。

戦争が激しくなり、タケシはお母さんを空襲で亡くし、お父さんも戦地で亡くなります。

敵は島の療養所を軍需工場と間違えたのか、激しい攻撃を加え、やけ野原にします。職員は患者を置き去りにして逃げ、生き残った患者たちは、差別によって壕からも追いやられ、劣悪な環境の洞穴などに移り住みます。そんな中、ツルはマラリアにかかり、心配してさがしにきたタケシの腕の中で息を引き取ります。ツルは亡くなってからも、らいで死んだとして差別を受けつづけるのです…。

儀間比呂志さんは沖縄出身の版画家。反戦とハンセン病への差別を訴える力強い版画です。

「ツルとタケシ」儀間比呂志(清風堂書店)2005年9月発行.37p.1500円

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映画「善き人のためのソナタ」

善き人のためのソナタ スタンダード・エディション DVD 善き人のためのソナタ スタンダード・エディション

販売元:アルバトロス
発売日:2007/08/03
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ドイツ映画です。重いですが、とてもいい映画でした。おすすめ。

ベルリンの壁が崩壊する5年前(1984年)の旧東ドイツ。

シュタージ(国家保安省)に所属するヴィースラーは、劇作家のドライマンと恋人の女優のクリスタが反体制的であるという証拠を掴むように命じられます。

国家に忠実に仕えてきたヴィースラーでしたが、彼らの生活を盗聴を続けているうちに、次第に彼の心に変化が生まれていきます…。

ベルリンの壁の向こう側では、こんなことが行なわれていたんだという…その実情に、ただただ驚きました。(主役のヴィースラーを演じた俳優のウルリッヒ自身も、シュタージに監視されていたという過去を持っているそうです)。

感情を表に出さないヴィースラーが、ヘッドホン越しに「善き人のためのソナタ」の音楽を聞いて、心を動かされた時の表情。そしてラスト、「これはわたしのための本です」というシーンで見せた、晴れがましい表情が心に残りました。

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世界の絵本 アフリカ・ガーナ

かわいいサルマ―アフリカのあかずきんちゃん Book かわいいサルマ―アフリカのあかずきんちゃん

著者:ニキ・ダリー
販売元:光村教育図書
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「かわいいサルマ-アフリカのあかずきんちゃん」ニキ・ダリー作 さくまゆみこ訳(光村教育図書)2008年1月発行.25p.1500円

アフリカ・ガーナを舞台にした愉快な絵本です。

サルマは、おばあちゃんに頼まれて、市場へおつかいに出かけます。“まっすぐ行って、まっすぐ帰るんだよ。知らないだれかとおしゃべりしちゃだめよ”と言われたはずなのに、サルマは近道をしようとあやしい裏通りに入っていってしまいます。

サルマに声をかけてきたのは、オオカミではなく犬!犬にだまされ食べられそうになったサルマは、クモのアナンシの格好をして昔話をしているおじいちゃんのところまでにげていきます。

サルマに逃げられた犬はおばあちゃんの家へ。そこで目が悪くサルマが帰ってきたものだと思い込んだおばあちゃんを食べようとします…。

「サルマ、おまえのはなはどうしてそんなにぬれているんだい?」「サルマ、おまえのみみはどうしてそんなに毛深いんだい?」というセリフも出てきて、あかずきんちゃんのパロディ(?)としても楽しめます。

ニキ・ダリーさんの絵が気に入って、日本で他に出版されていないか調べてみると、文章で参加している「ぼくのアフリカ」(冨山房・1993年発行・絶版なので図書館で見て下さい)があるようです。

「かわいいサルマ」に出てくるアナンシは、ガーナに伝わる昔話の主人公で、クモの姿をしている英雄なんだそうです。アナンシの話はたくさんあるそうですが、その中のひとつとして…。

アナンシと6ぴきのむすこ―アフリカ民話より (ほるぷ海外秀作絵本) Book アナンシと6ぴきのむすこ―アフリカ民話より (ほるぷ海外秀作絵本)

著者:ジェラルド マクダーモット
販売元:ほるぷ出版
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「アナンシと6ぴきのむすこ」ジェラルド・マクダーモット作 代田昇訳(ほるぷ出版)1980年10月発行.40p.20×23㎝.1500円

アフリカ・ガーナのアシャンティ地方で伝えられてきた民話です。

長い旅に出たクモ(蜘蛛)のアナンシが、あぶないめにあっていると、6匹のりっぱなむすこたちが助けにきてくれました。むすこたちは、それぞれの得意分野をいかして、アナンシの命を助けます。

みんなが帰った夜、森の中で光る大きな玉をみつけたアナンシは、助けてくれたむすこにそれをやろうとします。けれども、6匹のうちだれにほうびをあげていいかわからなかったアナンシは、ニヤメの神に相談しました。ニヤメの神は、それを空高く持ち上げ、誰からも見えるようにしました。

だからその光の玉(=月)は、今も空にあるんです…。

いかにもアフリカらしい鮮やかな色彩と大胆な構図に異国を感じます。

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「ひでちゃんとよばないで」

ひでちゃんとよばないで (えほんひろば) Book ひでちゃんとよばないで (えほんひろば)

著者:おぼ まこと
販売元:小峰書店
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「ひでちゃんとよばないで」おぼまこと(小峰書店)2003年11月発行.32p.25㎝.1400円

台湾で生まれ育ったおぼまことさんの自伝的絵本。

台湾で生まれ育ったすすむは、小学校1年生の時、近所に住むひでちゃんという女の子と仲良くなりました。

戦争が終わり、日本が負けたのを境に、ひでちゃんは台湾人となり(ひでちゃんのお父さんは台湾人、お母さんが日本人でした)、もう日本人と遊んではいけないと言われます。すすむが遊びに行っても、“もうこないで、わたしの名前はホアン・ショウランなの”と会ってくれませんでした。けれども、すすむが日本へ帰る日、ひでちゃんはこっそり見送りにきてくれていました…。

あとがきによると、ずっと仲良しだったひでちゃんがなぜ…と、子ども心にその事情を理解するまで、たいへん時間がかかったといいます。

大事な人たちや大切にしていた犬猫との別れ、思い出のたくさん詰まった町を離れなければならなかったこと…。戦争は、すすむの心にも、ひでちゃんの心にも大きな傷を残します。

おぼまことさんが50代半ばになって台湾に渡った時、ひでちゃんの行方をさがしたそうですが、見つからなかったようです。

小学校中学年くらいからわかるかな。

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ネーチャー・サウンド・オーケストラ

今朝のはなまるマーケットのはなまるカフェのゲストは、藤井フミヤさんと弟の尚之さん。その中で、藤井尚之さんが参加しているユニットの曲として、ほんの少し流れた「our song」という曲。自然の波の音と尚之さんのサックスの音のコラボ(?)で、すっごくすっごくよかったんです。なんとも心地いい音楽で。

番組の中ではあまり詳しく触れなかったので調べてみたら、ユニット名は「ネイチャー・サウンド・オーケストラ(The Nature Sound Orchestra)」で、2007年5月に結成。自然の音で作品を作っているジョー奥田さんと、サックスの藤井尚之さん、ピアノの高橋全さんの3人のユニットだそうです。

「our song」を全部聞いてみたいと思ったのですが、まだこのユニットとしてCDは発売していないようですね。残念…。ぜひぜひCD発売してほしいです!!

「ネーチャル・サウンド・オーケストラ」オフィシャルサイトは、こちらから

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映画「クワイエットルームにようこそ」

クワイエットルームにようこそ 特別版 (初回限定生産2枚組) DVD クワイエットルームにようこそ 特別版 (初回限定生産2枚組)

販売元:角川エンタテインメント
発売日:2008/03/19
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フリーライターの明日香は、目が覚めたら、“クワイエットムーム”と呼ばれる白い部屋にいた。やがて記憶がよみがえり全ての事実が明らかになり、明日香がここにきた本当の理由が突きつけられることになります…。

読んでませんが、原作は芥川賞候補となった松尾スズキさんの作品。この映画の脚本と監督も、松尾スズキさんが担当しています。

コメディ色が強いのですが、舞台となっている場所が場所だけに、笑っていいのか複雑な心境に…。(平日・日中の映画館は混んでいたとはいえませんでしたが、誰もクスリとも笑わず…。そんな雰囲気の中では、いくら宮藤官九郎さんや妻夫木さんの演技が可笑しくても、ギャハッとは笑えませんでした…)。

でも、強烈な個性の面々がおもしろかったです。蒼井優さんの演技がよかったなぁ。あまりに誰もが強烈なので、ふつう(?)の感覚のナース山岸さんが出てくると、心がなごみました。

映画「クワイエットルームにようこそ」の公式サイトは、こちらから

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角田光代「八日目の蝉」

八日目の蝉 Book 八日目の蝉

著者:角田 光代
販売元:中央公論新社
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「八日目の蝉」角田光代(中央公論新社)2007年3月発行.346p1600円

新聞連載されていたもの(読売新聞)を、まとめたものです。

第1章は、不倫相手の赤ん坊を誘拐した女の逃亡生活。第2章では、月日が流れ、その事件で誘拐された赤ん坊は20歳の女性になっています。物語は、誘拐した女と、された子どもへと、語り手をかえて進んでいきます。

冒頭、赤ん坊の誘拐に衝撃を受けたまま、それで?それで?この先どうなるの?と、読む手がとまらず…。ずっと緊迫感をもって読み進みました。

ほとんど覚えていない幼少期の記憶。なのに、払っても払ってもつきまとう「誘拐犯に育てられた子」というレッテル。それをどんな風に受け止め、どんな風に感じてきたか…。そして、「あの人」みたいになりたくない、でも「あの人」と同じことをしているのではないかという恐れ。その思いにどう折り合いをつけ、前に進んでいくのか…。彼女の心情が、心に迫ってきました。

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映画「硫黄島からの手紙」

散るぞ悲しき 硫黄島総指揮官・栗林忠道 Book 散るぞ悲しき 硫黄島総指揮官・栗林忠道

著者:梯 久美子
販売元:新潮社
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「散るぞ悲しき」梯久美子(新潮社)2005年7月発行.244p.1500円

太平洋戦争末期の激戦地・硫黄島の総指揮官・栗林忠道氏。彼の着任(昭和19年6月8日)から玉砕(昭和20年3月26日)までの9ヶ月間を、関係者へのインタビューや戦地からの手紙などをもとに追いながら、栗林忠道という人物像を浮き彫りにしていきます。

日本にとっては本土防衛の拠点、米軍にとっては日本本土空襲のための足がかりとなった硫黄島。戦力は圧倒的に米軍が勝り、最後には見捨てられることになるこの島で、懸命に戦った2万余の兵士たち。彼らのほとんどは、職業軍人ではなく、全国各地から召集された市井の人々。戦争も末期になり、若く壮健な兵士たちを集めることが難しく、妻子ある中年の兵士も多かったといいます。

水も食糧も不足する過酷な環境で、部下の兵士たちに凄惨な戦いを強いなければならなかった栗林氏は、硫黄島での日々をつねに兵士たちとともにあろうとします。毎日歩いて陣地を見回り、率先して節水に努め、食事も兵士と同じもの食べたといいます。

そしてなんとしても日本の国土である硫黄島を守り抜き、内地の人間が空襲を受けないように自分たちはここで戦っている。自分たちが敵の攻撃に耐えているうちは、父母も妻子も無事なのだという思いだけを心の支えにしていたのではないかと、著者は推測しています。

合理主義だった栗林氏は、正確に戦局を読み、これまでの陸軍の伝統に反する戦法を決断。兵士たちには温情あふるる指揮官であったといいます。家族に対しては、出征前に修繕することができなかった自宅のお勝手の隙間風を気にかけ、妻や当時9歳だった次女のたか子さん宛には細やかな気遣いをみせる手紙を数多く書き送っています。

タイトルになっている「散るぞ悲しき」は、玉砕を目の前にした昭和20年3月16日、大本営宛に発せられた訣別電報に添えられた栗林の辞世の歌に使われていたものでしたが、大本営が新聞発表したものは「散るぞ口惜し」に改変されていたというもの。その時代、死んでいく兵士たちを「悲しき」とうたうことが、指揮官にとって大きなタブーであったことをわかっていながら、あえてしたためた気持ちはいかばかりだったかと思います。

著者の梯久美子さんは、1961年生まれのフリーライター。この作品で第37回大宅壮一ノンフィクション賞を受賞しています。

硫黄島からの手紙 DVD 硫黄島からの手紙

販売元:ワーナー・ホーム・ビデオ
発売日:2007/12/07
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硫黄島の戦いを日本側から描いたもの。

冒頭、上空から硫黄島全体が見られる映像があるのですが、あまりにも小さく、何もない島だということに驚きました。

兵士以外誰もいない、逃げ場のない孤島での激しい戦い…。淡々と静かに描かれているのに、最後まで引き込まれて見ました。今の私たちの暮らしは、こういう歴史の上にあるんだ…とあらためて感じました。

届かなかった手紙が大量に見つかる場面がありますが、家族からの手紙がどんなに心を慰め、過酷な戦地での暮らしを支えたことか…。上記の「散るぞ悲しき」によると、戦地と家族を結ぶ郵便が止められたのは、米軍上陸近しと思われた2月11日だったといいます。郵便止めになった時、兵士たちはどんな思いだったのでしょう、そして戦地に送っても届かずに戻ってきてしまった手紙に家族はどんなに心配されたことでしょう…。

伊原剛志さんが演じたバロン西(昭和7年のロサンゼルスオリンピックの馬術競技で金メダルを獲得。硫黄島で戦死)が好きでした。

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宇江佐真理「卵のふわふわ」

卵のふわふわ 八丁堀喰い物草紙・江戸前でもなし (講談社文庫) Book 卵のふわふわ 八丁堀喰い物草紙・江戸前でもなし (講談社文庫)

著者:宇江佐 真理
販売元:講談社
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「卵のふわふわ」宇江佐真理(講談社文庫)2007年7月発行.312p.533円

江戸・八丁堀。主人公となるのぶは、北前奉行所に務める正一郎と結婚して6年。舅も姑もかわいがってくれるが、夫の冷たい態度に思い悩んでいた。そんなのぶをいたわりいつもたすけてくれたのは舅の忠右衛門だったが、のぶは椙田の家を出ることを考え始めていた…。

宇江佐さんの時代ものは安心して読むことができます。きっと悪いようにはしないだろうと…。読んでよかった…。おもしろかったです。

夫との心のすれ違いに悩み、揺れるのぶの心情は今も昔も変わらない。何度かぐっときてしまいました。

淡雪豆腐、水雑炊、ところてん、卵のふわふわ…。章ごとに登場する食べ物が、人の心をつなぎ、頑なな心がほどけていく役割を果たしています。忠右衛門の緩さに気持ちが和みました。

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絵本「ボヨンボヨンだいおうのおはなし」

ボヨンボヨンだいおうのおはなし Book ボヨンボヨンだいおうのおはなし

著者:ヘルメ ハイネ
販売元:朔北社
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「ボヨンボヨンだいおうのおはなし」ヘルメ・ハイネ作 ふしみみさを訳(朔北社)2006年4月発行.28p.23×24cm.1300円

おうさまは、りっぱなお城に住み、広く豊かな国をおさめていました。けれども毎日毎日山のような仕事に追われ、国のいろんな問題が気になって夜もねむれません。

ある晩、どうしてもねむれなかったおうさまは、ベッドの柱によじ登り、いきおいよくどびおりてみました。ボヨーンバヨーン、ボヨヨーンバヨヨーン。とびはねるたびにしんぱいごとが、ひとつずつ消えてゆき、きれいさっぱり忘れることができたのです。

ところがおせっかいな大臣が、大きな声で笑いながらベッドでとびはねているおうさまをみてしまいました。次の日国中でうわさになってしまったおうさまは、しかたなく「このくにでは、ぜったいにベッドの上でとびはねてはならない」というおふれを出します。

またねむれなくなったおうさまは、とうとう重い病気になってしまいました。おうさまは大臣たちに、「もういちどだけわしをベッドの上ではねさせてくれ」と最後のお願いをします…。

一見地味な表紙ですが、中身はおもしろい!ドイツの絵本作家によるコラージュ絵本です。ベッドで飛び跳ねる音を「ボヨーンバヨーン」と訳した訳者さんの巧さに拍手!

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桜庭一樹「青年のための読書クラブ」

青年のための読書クラブ Book 青年のための読書クラブ

著者:桜庭 一樹
販売元:新潮社
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青年のための読書クラブ」桜庭一樹(新潮社)2007年6月発行.231p.1400円

舞台となるのは、東京山の手の伝統ある女学校・聖マリアナ学園。

学園の異端児たちが集う読書クラブには、百年の間受け継がれてきた読書クラブ誌があった。それは、歴代のクラブ員たちが、学園の正史に残らないような事件を起こしたり目撃者となった時に、こっそりと書き残したノートだった…。

五編から成る連作短編集。1919年から近未来の2019年まで、脈々と受け継がれてきたクラブ誌は、当事者ではなくそこから一歩ひいた傍観者が綴ってきたもの。

女子高という閉じられた空間が作り出す独特な雰囲気。クラシカルな文体。作者が構築した世界にすっかりはまってしまいました。

おもしろかったです。「赤朽葉家の伝説」「青年のための読書クラブ」と読んで、すっかり桜庭一樹さんのファンとなりました。

桜庭一樹さんの「私の男」(文藝春秋・2007年10月発行)が、二度目の直木賞候補になってましたね。選考会は1/16。

※第138回芥川賞・直木賞 メッタ斬り!サイトは、こちらから読めます。

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のだめ スペシャルドラマ

のだめカンタービレ スペシャルBEST! Music のだめカンタービレ スペシャルBEST!

アーティスト:のだめカンタービレ
販売元:エピックレコードジャパン
発売日:2007/12/19
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1/4、1/5二夜連続で放送された「のだめカンタービレ in ヨーロッパ」。フランク(ウエンツ)とターニャ(ベッキー)を見て、そうきたか!思いました。ナイスキャスティング。無理がないもん。

ドラマの中で使われた曲が、モーラから試聴できます。千秋が何度もホルンにダメだしをするR・シュトラウス「ティル・オイレンシュピーゲルの愉快ないたずら」が好きだったので、1曲買っちゃいました。

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干支「ネズミ」の絵本

かあさんねずみの おくりもの かあさんねずみの おくりもの
販売元:セブンアンドワイ ヤフー店
セブンアンドワイ ヤフー店で詳細を確認する

「かあさんねずみのおくりもの」谷真介・文 赤坂三好・絵(小峰書店)1980年10月発行.1300円

雪の野原に赤い毛糸の手袋がひとつ落ちていました。それを見つけたねずみの子どもたちは、家までもって帰りました。

手袋の中にもぐったりと、はじめは仲良く遊んでいたこねずみたちでしたが、そのうち取り合いがはじまりました。するとかあさんねずみは、手袋をウサギやゾウに変身させ、5匹分のぼうしとマフラーをつくり出してくれました…。

幼稚園くらいから。

ねずみちゃんのおうちさがし Book ねずみちゃんのおうちさがし

著者:ペトル ホラチェック
販売元:フレーベル館
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「ねずみちゃんのおうちさがし」ペトル・ホラチェック作・絵 三辺律子・訳(フレーベル館)2006.1月発行.28p.19×13cm.1300円

ねずみちゃんは、とてもおいしそうなりんごを見つけます。そのりんごをおうちの中まで運んでこようとしますが、小さくて入りません。

そこでねずみちゃんは、もっと大きなおうちをさがしに出かけました。おなかがすいてきて、りんごを少しずつかじりながらさがし歩いているうちに、最後にたどりついたのは…。

作者のペトル・ホラチェックは、チェコの絵本作家です。ねずみちゃんがのぞくいろんなおうちの穴がくりぬいてあるしかけ絵本になっています。こちらも幼稚園ぐらいから読めるでしょう。

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