「ハーメルンの笛吹きを追え!」ビル・リチャードソン著 代田亜香子訳(白水社)2004年4月発行.261p.1600円
「ハーメルンの笛吹き」の伝説をモチーフにしたファンタジーです。
笛吹きと共に行方不明になった子どもたち…。取り残されたのは、楽しみにしていた11歳の誕生日=イレブニングの朝を境に耳が聞こえなくなってしまったペネロピーと、目の見えないアロウェイ。ディープ・ドリーミングという才能を持つペネロピーは、笛吹きをさがし子どもたちを救う使命を負って、夢の中を旅することになります…。
101歳になったペネロピーが、11歳の時に起きたことと、現在の自分を交互に語っていきます。
笛吹きの正体と、連れ去られた子どもたちがどうなったのか?作者なりの答えが明かされます。児童文学というより、ヤングアダルト文学といった方がいいかもしれません。
ねずみの大群におびやかされていたハメルンの町にやってきた笛吹き男。男はねずみを退治するが、約束した報酬を払ってもらえなかった仕返しに、子どもたちを連れ去った…。
「ハーメルンの笛吹き」の伝説は、絵本にもなっていますね。
「ハメルンの笛ふき」ロバート・ブラウニング詩 矢川澄子訳 ケート・グリーナウェイ絵(文化出版局)1976年9月発行.48p.25×22㎝.1600円
グリムが収集した伝説もありますが、こちらはイギリスの代表的な詩人ロバート・ブラウニングの手によるもの。リズムがいい言葉によるシンプルなストーリー。そしてなによりケート・グリーナウェイの繊細な絵が中世のヨーロッパを感じさせます。個人的には、この絵本が一番好きです。
この本の中ではこのできごとが起きたのは、1376年7月22日(一般的には、1284年6月26日とされているようです)、ひとり残されたのは、足が悪くて遅れた少年ということになっています。
こちらは、「しろいゆき あかるいゆき」「みんなのベロニカ」などの絵本を描いたデュボアザンによるもの。
「ハーメルンの笛ふき男」リバート・ブラウニング作 ロジャー・デュボアザン絵 長田弘・訳(童話館出版)2003年9月発行.40p.32×24cm.1600円
こちらもロバート・ブラウニングによるもので、上記の文化出版局「ハメルンの笛ふき」と基本的には同じストーリーです。こちらの本の方が大判で、使われている言葉もわかりやすくなっているので、子どもの読み聞かせによいでしょう。
後日談として、トランシルヴァニア地方に、地元の人たちとはまるでちがう、その土地生まれではない一族がいた。彼らは、もともとは遠い昔、ハーメルンの町から連れ出され、閉じ込められた地下牢から逃げ出して、その土地に住みだしたといわれている…と記されています。
「ハーメルンの笛ふき」サラ&ステファン・コリン文 エロール・ル・カイン絵 かなせきひさお訳(ほるぷ出版)1989年11月発行.33P.31×22㎝.1200円
エロール・ル カインの描いた「ハーメルンの笛ふき」は、上記「ハメルンの笛ふき」の余白の多い絵とは対照的で、びっちりと描き込まれた緻密な絵です。この絵本の“まだら服の笛ふき男”の容姿は、悪魔っぽいですよね。
巻末に“ほんとうはなにがおこったか?”として、ハーメルンの伝説についての解説が設けられています。1284年6月26日、ハーメルンで130人の子どもがいなくなりついに戻ることがなかったというのは、史実だったようです。ただ、ねずみ騒動とは無関係だったものが、16世紀になってネズミ捕りの話の一つが「神がくしにあった子どもたち」の話と結びついた(いわゆる後づけされたのですね)と書かれています。